執拗な内角攻めも指揮官は「1本出るかな」 Vへ躍動する慶大4番・正木の修正能力
スカウトも予感していた「怖がらずに踏み込んで打てるか」
プロ野球各球団のスカウトも注目するドラフト候補。ここまで本来の姿を見せることはできなかったが、かといって評価が変わるほどの器でもない。準々決勝が行われた10日に視察したロッテの永野吉成プロ・アマスカウト部長も「これほど内角攻めを受けたことはないからか、意地になって打っている部分がある。内角攻めに怖がらずに踏み込んで打てるかどうか。1本出たら変わると思う」と見ていた。
その“予言”は、2日後に的中する。先制弾を打った勢いそのままに、同点で迎えた8回には、決勝の左適時打を放ってみせた。取っては取られての乱戦は、10-6で決着。翌13日の決勝で、初優勝を目指す福井工大と相まみえる。
正木にとっては、2年時に経験した明治神宮大会以来となる日本一をかけた舞台。「2年前は先輩に引っ張っていってもらうという形だったんですけど、今年は最上級生として、4番として、副キャプテンとして自分が決めてやるという気持ちでやっていきたい」と気を引き締める。
目指すは1987年以来の歓喜。「陸の王者」の中心に座る身として、果たすべき仕事はひとつしかない。
(川村虎大 / Kodai Kawamura)