「サッカーのまち」に野球の風 “非エリート軍団”藤枝明誠が躍進した練習法とは?

藤枝明誠のベンチには多くの言葉が貼られている【写真:間淳】
藤枝明誠のベンチには多くの言葉が貼られている【写真:間淳】

頭をフル回転させる守備が流れを変えるプレーを生んだことも

「考える力」と「守備力」。藤枝明誠は、弱者が強者に勝つ術を磨き上げてきた。そこに、静岡県屈指の強豪校へ上り詰めた理由がある。頭をフル回転させる守備はチームに浸透し、試合では流れを変えるワンプレーを生むこともある。

 過去の夏の県大会では、1死一、二塁のピンチでライト前ヒットを捕球した右翼手が迷わず、三塁へ送球。瞬時に走者の動きを判断し、三塁を狙った一塁走者をアウトにした。ピンチを最小限に防ぎ、敵将に「あのプレーで勝てないと思った」と言わしめた。

 積極的に次の塁を狙うチームとの対戦ではオーバーランを見逃さず、チャンスの芽を摘んだ。まるで攻撃しているように、守備が相手を追い込む一手となっている。

 数字にも成果は表れている。昨秋までの公式戦とレギュラーが出場した練習試合では計64試合で95失策と、1試合平均の失策数は1.48だった。それが、試合数こそ11試合と少ないが今春の公式戦は、わずか6失策。2試合に1つしか記録していない計算になる。

「うちの学校はサッカーとバスケットが名門だが、野球も仲間入りしてきたかな」と光岡監督。「守備力」と「考える力」で静岡県内の高校野球を引っ張る藤枝明誠は「サッカーのまち」に新たなキャッチフレーズを生みそうだ。

(間淳 / Jun Aida)

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