弱者が強者に勝つ「言葉」と「数字」 敢えて三振の奇策も…知将が突き詰める確率

藤枝明誠・光岡孝監督【写真:間淳】
藤枝明誠・光岡孝監督【写真:間淳】

光岡孝監督は2012年に藤枝明誠に着任、部長を経て14年に監督就任

 昨秋、今春と2季連続で静岡県大会を制した藤枝明誠高校。2014年に光岡孝監督が就任してから県内有数の強豪校となった。“弱者が強者に勝つ方法”を追究する指揮官が大切にするのは「言葉」と「数字」だった。

 グラウンドのベンチには何枚もの紙が貼ってある。全てが傾くことなく、真っすぐに美しく。「自らの力で考え行動する力 考動力」「凡事徹底」「厳しさからしか強さは生まれない」。グラウンド以外にも部室やトイレにも、目線の高さには様々な言葉が並んでいる。

 藤枝明誠の光岡孝監督が掲げるチームスローガンは「一心」。1人1人の心を強くし、その心を1つにして戦うという意味が込められている。同じ藤枝市にある静清工業高校(現在の静清高校)を指揮した2011年にセンバツ出場に導くと、2012年に藤枝明誠に着任、野球部の部長を務めた。

 監督に就いた2014年当時、チームは静岡県大会に出場できるかどうかの力だった。それが、2017年夏に創部初の甲子園出場。現在は毎年のように優勝候補に名前が挙がる強豪校だ。秋季大会は2年連続で県大会優勝。今年の春季大会も県の頂点に立った。

 毎年メンバーが入れ替わっても、優勝争いできるチームをつくる光岡監督が大切にしているのが「言葉」だ。「技術指導は誰がやっても大きくは変わらない。選手が自分から動けるようにするには、控え選手も頑張れるようにするには、どうすればいいのか。使う言葉と発する声のトーンを大事にしている」。大切な言葉は繰り返し伝え、常に選手たちが目にするように文字にして掲示している。

大事にしているのは言葉の質「『声出しています』はいらない」

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