稲葉監督と田中将が共有する思い 星野仙一さんに捧ぐ金メダル「五輪の借りは五輪で」
24人に稲葉監督が込めた思い「日の丸を背負うことに対して熱い思いを思った選手の集まり」
稲葉監督と思いを共有する唯一の選手が、当時チーム最年少の19歳で選出されていた田中だ。「田中投手には入団会見(今年1月の楽天復帰会見)の時にも、五輪に言及していただいた。彼も悔しい思いを持ってくれていると思う。まだ実際に会えてはいないが、これからそういう思いについて話ができたらと思う」と稲葉監督。田中自身も「再び日の丸を背負って戦えることに、喜びと同時に責任も感じています。前回出場した北京五輪では悔しい思いをしたので、今回は金メダルを獲得できるように頑張ります」とコメントしている。
五輪の規定で選手登録枠はプレミア12の28人から4人減って24人に。また、今回の東京五輪でも、炎天下の屋外球場でのデーゲームが避けられないなど、オリンピックには他の国際大会と比べても特殊な状況がある。初めて五輪に臨むメンバーへ、自身の経験を話して聞かせることができる稲葉監督と田中の存在は貴重だ。
「今回のメンバーのうち、プレミアで戦ってくれた選手たちは、ジャパンに対する思いが強いと感じている。新しい選手も入っているが、日の丸を背負うことに対して熱い思いを思った選手の集まりだと思う。みんなが集まった時、僕からまたそういう話をさせてもらって、結束して戦っていきたい」とまなじりを決した稲葉監督。2018年に亡くなった星野仙一氏も、その背中を見守っているに違いない。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)