札幌国際大女子野球部が公式戦デビューへ 1人3ポジション制の少数精鋭軍団が目指す頂点
工藤里菜主将は神戸弘陵高の主将として70人の部員をまとめ、高校日本一に輝く
今春1年生6人が加わり、単独チームでの活動が始まった。「この12人でしか味わえないストーリーにチャレンジしようと」と指揮官は選手に呼びかける。人数が限られるため「メインのポジションにプラスして2つのポジションをやってもらっています」と1人3役を求め、連戦を勝ち上がるイメージだ。「何が起こるか分からないので、頭の中では10ストーリーくらい作っています」と多数のオプションを準備している。
実際、4月に駒大苫小牧高と行った初の対外試合では、左利きで外野と一塁を守る虻川莉子(1年)を捕手としてテストした。札幌新陽高時代外野手だった虻川は「配球や右打者が立った時の三塁送球、ショートバウンド捕球など難しさはありましたが、捕ることが好きですし、キャッチャーとしてうまくなりたいです。正捕手になれるように頑張ります」と前向きに取り組んでいる。異色の左利き捕手が公式戦でも実現するかもしれない。
少数精鋭集団と言える。工藤主将は、神戸弘陵高の主将として70人の部員をまとめ、高校日本一に輝いた経歴の持ち主。今春入学したエースの亀田織音投手(1年)は、札幌新陽高卒業後に女子プロ野球リーグ入りし、昨季はルーキーながら15試合に登板した。昨年夏にプロの活動が危ぶまれるという噂を聞き、地元の大学での再出発を決めた。工藤主将と亀田は、19年の女子野球アジアカップで優勝したU-18日本代表のチームメートだ。
亀田ら19年夏の高校選手権で4強入りした札幌新陽高の卒業生が9人在籍し、工藤主将の後輩で神戸弘陵高時代に4番で主将だった小松海月内野手(1年)も加入。実力と経験を併せ持つメンバーが揃った。
4月の駒大苫小牧高との変則ダブルヘッダーでは、計12イニングで18安打を放ち、17得点を奪った。亀田、工藤主将、小松で組むクリーンアップは破壊力抜群。「まだまだこんなものじゃないです。打撃は水物ですが、もっと打ちますよ」と阿南監督は手応えを口にする。
東北以北で初めて、全国で10番目の大学女子硬式野球部として誕生し、1年がかりで辿り着いた単独デビューの舞台。スクールカラーであるネイビーと、エンジに新色のブルーを加えた真新しいユニホームで新風を巻き起こす。
(石川加奈子 / Kanako Ishikawa)