侍ジャパン稲葉監督御前で5回3失点 DeNA今永昇太に足りないものとは?
五輪代表を辞退した巨人・中川の代役として候補に挙がる
■DeNA 9ー4 中日(30日・神宮)
DeNAのエース左腕・今永昇太投手は6月30日、神宮球場で行われた中日戦に先発し、5回4安打2四球3失点で今季2勝目(2敗)を挙げた。この試合には、東京五輪に出場する侍ジャパンの稲葉篤紀監督が視察。昨年10月に左肩のクリーニング手術を受けた影響で出遅れた今季、徐々に調子を取り戻してはいる今永だが、完全復活と呼ぶにはまだ物足りない。
「調子自体はそんなに良くなかったが、要所で踏ん張った。(1イニング)複数失点を防げたことが大きい。勝ちが付いたことで、次回登板の気分が違ってくるのではないか」。三浦監督は試合後、エースの投球をそう評した。実際、この日は今永自身が驚いたような表情を浮かべたり、首をひねったりと、悪い意味で表情豊かだった。
味方打線から早々と4点の援護を受けて迎えた2回、先頭の4番・ビシエドをカウント0-2からインハイの速球で詰まらせたが、打球は左翼フェンスをギリギリ越えた。目を見開き、あっけに取られた今永。パワーのあるビシエドが相手とはいえ、自身の速球の威力がイメージほどでなかったのかもしれない。
7-1と6点リードした3回には、1死三塁で巧打者・大島を打席に迎え、カウント1-2から内角低めいっぱいのコースに142キロ速球を投げ込んだが、わずかに内側に外れ「ボール」の判定。歯を食いしばり、残念そうな表情を浮かべた。その後、散々ファウルで粘られ、結局10球目のカーブを中前に弾き返されて2点目を失った。
5回には1死一、三塁からゲッツー崩れの間に1点を献上。なおも続いた2死一塁では、3番・高橋周にカウント2-2から真ん中高めのボール気味の速球を振らせ、三振に仕留めたが、本人は不満そうに首をかしげた。捕手の山本が構えていたのは外角低めだったのだ。
「短いイニングでの降板となってしまったので、7、8回を目指し、長いイニングを安定して投げられるようにしたい」と語った今永。今季は6試合に登板し、最長投球回は7イニング、最多投球数は108球で、いずれも6月13日の日本ハム戦。この日、5回までに99球を要したのは、勝負所でのストレートが球威、制球ともに今ひとつで、決め切れなかったからだろう。一方、4回1死一塁では福田をワンバウンドするスライダーで、続く桂もチェンジアップで連続三振に仕留め、変化球には手応えをうかがわせた。
DeNAの浮沈の鍵を握るエースだが、侍ジャパンとしても、2019年プレミア12で貴重な左の先発として優勝に貢献。稲葉監督の信頼は厚い。6月16日に発表された東京五輪内定メンバーには入らなかったが、巨人・中川が肋骨骨折で辞退したため、左足靭帯損傷から3軍戦で実戦復帰したばかりのソフトバンク・千賀、楽天・松井らとともに、今永も代役候補の1人に挙がる。自信を持って侍のユニホームに袖を通すには、もうワンランク調子を上げる必要がありそうだ。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)