鷹・今宮健太とエースを争った明豊高同級生の絆 親友とファンの想いで生まれた応援歌
下松さんが制作した「僕たちの声」が9日のオリックス戦から今宮の登場曲に
10年間、温め続けてきた夢がついに叶う時が来た。“戦友”同士が想いを込め、新たに生まれた登場曲。9日にPayPayドームで行われるオリックス戦でお披露目される。
登場曲を使うのはソフトバンクの今宮健太内野手、曲を制作したのは歌手の下松翔さん。2人は同じ大分・明豊高で野球部に在籍し、下松さんと今宮は2年時までエースの座を争った。青春時代を共に過ごし、同校は3度の甲子園出場、2009年の甲子園ではベスト8に進出。3年時は下松さんはマネージャーとしてチームを支えた。2人は苦楽を共にしてきた戦友であり親友だ。
高校卒業後、今宮はソフトバンクへ入団。球界を代表するショートとして成長を遂げた。下松さんは高校時代からの夢だったアーティストを志して上京。その夢を叶えて、プロの歌手に。そこで1つの夢ができた。
「10年間、歌手をやってきて夢だったのは健太の応援歌を歌うことでした」
歌手としてデビュー10年目の節目の年。ずっと胸に秘めてきた夢がついに動き出した。1月。北九州市で行っていた今宮の自主トレを下松さんがサポート。ほぼ1か月間、時間を共にすると、自主トレ後に今宮から「そろそろ歌作ろうか」と“オファー”が舞い込んだ。
スタートした応援歌制作。「応援歌を作るにあたって、ファンの皆さんと一緒になって応援したいというのがあって、ファンの人を巻き込んで作れないか考えました」という下松さんはある企画を立ち上げた。応援歌制作のための“クラウドファンディング”。ファンからの支援を募り、ファンの想いが込められた応援歌にしたいとの思いだった。集まった支援金はレコーディングの費用やミュージックビデオ製作に充てられた。
そこから今宮とコミュニケーションを取り、曲調や歌詞などの希望を吸い上げた。完成した曲名は「僕たちの声」。高校時代から一緒に過ごし、苦楽を共にしてきた親友だからこそ分かる想い、ファンの人たちの今宮を応援する想い、そして今宮自身が望んだ「絆」「家族」という言葉への想いを曲に込めた。
歌詞の中にはこんな一節がある。「小さな体に 大きな期待背負っても 忘れないで 独りじゃない 仲間がいるから」。身長172センチと体格には恵まれないながら、球界屈指のショートとなった今宮。仲間を大切に想い、仲間から大切に想われてきた。そんな名手の生き様が表れた歌詞だ。
「健太本人も気に入ってくれたみたいで『いいね』と言ってもらいました」と下松さん。「僕の歌で健太の背中を押すことができるチャンスが来た。実際に球場で流れた時にどんな心境になるか分からないですね。嬉しいというだけじゃない、いろんな環境が思い浮かんでくると思います」。7月9日のオリックス戦。親友からのエールがこもった登場曲が今宮の背中を押す。
(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)