プロ注目・風間球打と「Wエースに…」 明桜の最速143キロ「背番号6」が目指すもの

ノースアジア大明桜・石田一斗【写真:荒川祐史】
ノースアジア大明桜・石田一斗【写真:荒川祐史】

最速153キロ右腕・風間を温存した明桜は秋田工を破り8強進出

 全国高校野球選手権秋田大会3回戦は14日、秋田市のこまちスタジアムで2試合が行われ、第1試合では第1シードのノースアジア大明桜が秋田工に9-1で7回コールド勝ち。8強進出を決めた。最速153キロのプロ注目右腕・風間球打投手(3年)を温存して臨んだ一戦で、先発したのは背番号「6」を着ける石田一斗(3年)。今年に入って“急成長”中の右腕は、最速143キロを計測した直球を軸に4回2/3を2安打5奪三振1失点でまとめた。

 絶対的エースの風間をベンチに置いて臨んだ一戦で、石田一斗が躍動した。直球は自己最速を2キロ更新する143キロを計測。鋭く曲がるスライダーを交えて5回途中まで秋田工を1失点に抑えた。打っても3打数2安打2打点。2回に中前適時打、5回には左中間へ適時三塁打を放った。

「実力はまだまだですが、風間とはタイプが違うので。自分の強みはコントロールと変化球。もっと実力をつけてダブルエースと呼ばれるようになりたい」

 風間とは投球スタイルも違えば、性格も正反対。マウンドで常に冷静沈着な風間に対し、石田一は闘志を全面に表す。この日も初回に2本の安打を許して1点を失い、その裏の打席で頭部に死球を受けるとバットを叩きつけて怒りを表した。

「風間はどんな場面でも、あんなことはしない。自分がそうなってはいけなかった。しっかり考えを整理して気持ちを落ち着かせて、次の回マウンドに上がりました」。2回以降は無安打に封じてコールド勝ちを呼び込んだ。

 本格的に投手に取り組み始めたのは今年の春季大会から。オフ期間の投球練習を見た輿石重弘監督が「意外といけるんじゃないか」と、投手と内野手の兼任を決めた。当初はショートリリーフが多かったが、秋田中央との決勝戦では2失点完投勝利。その成長に指揮官も「思った以上」と驚く。だからこそ求めるレベルも高い。「1点取られてしまった。無失点で秋田県大会を勝ちたかった」と厳しい言葉を並べたのも期待の表れだろう。

 石田一には目標がある。二塁を守る1つ下の弟・恋内野手との甲子園出場だ。この日も、降板後は兄弟で二遊間を組んだ。「甲子園で組みたいという気持ちはあります」。目標を叶えるためにも、エース風間を支える覚悟だ。

(川村虎大 / Kodai Kawamura)

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