25年前のオリ守護神が仰天した中嶋監督 サインに首を振った時の“頑固ぶり”
25年ぶりVの“懸念材料”は約1か月の中断期間と指摘する
もう1つ、鈴木氏が今シーズンのオリックスで注目しているのが中嶋監督のコメントだ。「負けた時に選手を名指ししていないはず。誰のエラーや投球で負けたかは、本人が一番よく分かっている。中嶋さんが現役の頃の仰木さんや山田さんもそうだった」。リーグ連覇を達成した1995、96年にチームを指揮した仰木彬監督は敗戦後のインタビューで、特定の選手の名前を口にすることはなかったという。
当時の山田久志投手コーチは、失点した中継ぎ投手に「マウンドに送り出すタイミングが一つ遅かった。申し訳ない」と謝罪した。鈴木氏は「中嶋さんは勝てるチームの首脳陣を目の当たりにしてきた。特に山田さんはお互い秋田県出身で同じラインなので影響を受けているはず。どれだけ気持ちよく選手にプレーさせるかが、チームの勝敗に大きく関わる」と述べる。
中嶋監督の忍耐強さや信念、人心掌握もあって、オリックスは25年ぶりのリーグ優勝に手が届く好位置にいる。このまま頂点に立つことができるのか。鈴木氏が唯一の不安材料に挙げたのが、東京五輪による変則日程。7月15日からの約1か月の中断はベテランが体を休める期間となり、毎年上位争いをしているチームは立て直しにあてることができると指摘する。
鈴木氏は「今のオリックスのように若い選手が多く、勢いのあるチームは休まない方がいい。このままの調子で最後まで駆け抜けてほしいが、中断の影響が出ないか心配」と読む。懸念は杞憂に終わるのか。オリックス最後の胴上げ投手は、25年ぶりとなる歓喜の瞬間を心待ちにしている。
(間淳 / Jun Aida)