1年半で球速20キロアップ 盛岡中央に現れた最速149キロ2年生が歩んだ進化の道

7奪三振の好投を見せた盛岡中央・齋藤響介【写真:川村虎大】
7奪三振の好投を見せた盛岡中央・齋藤響介【写真:川村虎大】

盛岡中央の齋藤響介は2年生ながら最速149キロ 21回1/3で30奪三振の剛腕

 花巻東の校舎から歩いてすぐの花巻球場。エンゼルス大谷翔平投手、マリナーズ菊池雄星投手が3年間を過ごしたすぐ脇で、2年生の“ドクターK”が快投を披露した。全国高校野球選手権岩手大会で17日、盛岡中央が福岡を6-2で下し準々決勝進出を決めた。6回途中からマウンドに上がったエース・齋藤響介投手が3回1/3を1安打無失点。10個のアウトの内、7個を三振で奪う力投だった。

「50点です」

 報道陣に投球の評価を聞かれると意外な言葉が返ってきた。8日の平館との1回戦では3安打完封、15日の水沢商業戦では2失点完投し、自己最速の149キロを計測した。そしてこの日は6-2と2点リードした6回2死一、二塁から登板すると、2者連続四球で1点を失うも、福岡高の1番・山市大河内野手(3年)から三振を奪い切り抜けた。その後も8回に3者連続三振を奪うなど毎回の奪三振ショー。にも関わらず、出てきたのは反省の言葉ばかりだった。

「変化球のコントロールが良くなかった。スライダーが抜けることが多かったので、そこは次回登板で直していきたいと思います」

 あくなき探究心を持ち、1段1段階段を登ってきた。中学校時代は軟式野球部に所属。入学当初は硬球に慣れず、球速は120キロ後半だった。奥玉真大監督が「慢心せず、勝ちたい、速い球投げたいと常に思っている子」と評する右腕は、ウエートトレーニングとランニングで下半身を鍛え、徐々に球速を上げて行った。1年秋には143キロを叩きだした。

 さらに転機となったのは昨冬だ。佐々木敬之投手コーチの「右足が流れないように」という指導で、ボールに力を乗せられる投球フォームに改良。その結果奪三振が増えた。この夏は21回1/3を投げ、30個の三振を奪っている。奥玉監督も「日々の練習を積み重ねてきた結果」と、成長を喜んだ。

 将来の目標はプロ入りだが、身近に憧れの存在がいる。1学年上の中川青空(そら)投手だ。「青空さんは、自分よりもコントロールや緩急が上手なので、自分も青空さんみたいなピッチングができるようにしたいです。先輩方と一緒に甲子園に出たい」。次戦の相手は強打の盛岡大付。盛岡中央のドクターKは、憧れの先輩との聖地を目指して1戦1戦勝ち抜いていく。

(川村虎大 / Kodai Kawamura)

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