淡路島に「おかえり」 地域の温かさに一念発起…復活した“女子野球”が目指す先

監督、コーチ、2選手の4人で練習開始…現在は8人が島在住

 昨年4月、3人が最初に勧誘したのは、神戸弘陵学園を卒業して淡路市職員になった加藤美夏内野手だった。田中監督と泉コーチ、川野と加藤の4人で練習を開始。「最初はほぼマンツーマン。基礎の基礎から始めて、土台づくりをじっくりやりました」と泉コーチは振り返る。少しずつ人数が増え、現在は、田中監督を含めた15人中8人が島に住み、縫製会社や製麺会社などで働きながら、仕事と野球を両立している。

 練習環境は抜群だ。練習は主に東浦サンパークで行い、兵庫ディオーネがいた頃に建設計画が持ち上がった室内練習場や人工芝のフットサル場も使用する。「環境はほかに負けていません。あとは、ここの土地柄。おじいちゃん、おばあちゃんにかわいがってもらうことが多く、ご飯をすごく食べさせてくれますね。差し入れがあると、みんなでお裾分けしていただきます。ありがたいことに、食べるものに困らないですし、野球面では集中できます」と田中監督は魅力の一端をアピールする。

 島のおじいちゃん、おばあちゃんだけではない。昨春にチーム名を公募した際には、81通もの応募があった。「小さい子どもたちも応募してくれて、その名前が“淡路モーモー”とかすごくかわいいんです。癒されましたね。3人で直筆のお礼の手紙を全員に書いて送りました」と泉コーチは笑顔で明かす。

 その中から選んだのは、知らない土地に飛び込んで来る若い選手の勇敢さを讃える「ブレイブ」と淡路島のきれいな海を表した「オーシャンズ」という言葉。青を基調にしたユニホームは、海と同様にきれいな空をイメージした。

 島民に愛されるチームが見据えるのは、日本一のクラブチームだ。選手14人全員が26歳以下と若いチームながら、古谷恵菜投手、泉由希菜捕手、星川あかり内野手の3人が侍ジャパン女子代表に名を連ね、2018年の女子野球ワールドカップで6連覇に貢献した中田友実外野手と実力者がそろっている。だから、デビュー戦となったラッキートーナメント3位の成績にも満足せず、さらなる高みを目指していく。

(石川加奈子 / Kanako Ishikawa)

RECOMMEND

KEYWORD

CATEGORY