根尾に必要なのは“寵愛”か“経験”か… 最終年迎えた中日与田監督の前半戦采配は?

中日・根尾昂【写真:荒川祐史】
中日・根尾昂【写真:荒川祐史】

遊撃レギュラーの京田を2軍降格“聖域なき采配”も断行

 中日はシーズン前半戦を32勝42敗12分で終え、4位で折り返した。通信簿で言えば「もう少し」といったところ。ただ、3位のヤクルトとすでに10ゲーム差も開いている現状では限りなく「頑張ろう」に近い。3年契約の最終年を迎えた与田剛監督にとっては正念場。前半戦のポイントとなった采配を振り返りながら、後半戦を占う。

 2月のキャンプから話題の中心だったのは、高卒3年目の根尾昂。遊撃のレギュラー京田陽太に宣戦布告したものの、オープン戦で存在感を見せたのもあって外野で開幕を迎えた。守備では強肩を生かした好守を見せることも少なくない一方、バットでは打率1割台に低迷。しかし、平田良介や新助っ人マイク・ガーバーら外野の主力候補が相次いで不振にあえいだ事情もあり、多くのスタメン機会が巡ってきた。

 ただ、5月下旬から6月にかけて快音から見放され、26打席連続無安打も経験。ベンチに回る機会が増えた。2軍では高卒4年目の伊藤康祐やベテランの藤井淳志らも控えていたが、6月以降で外野手で昇格させたのは、ロッテからトレードで獲得した加藤翔平のみ。根尾は前半戦を1軍で過ごした。

 長い時間ベンチで試合を見続けるくらいなら、2軍で実戦機会を与えた方がいいという見方もできる。同時に、シーズン通して1軍の景色を見続けることこそが“経験”という考えもある。将来の中日を支える中心選手に育てなければいけないのは、自身の手で4球団競合のくじを引き当てた与田監督が最も分かっているだろう。“強化指定選手”に対する我慢と、求められる結果とのジレンマを抱える。

 根尾が“聖域化”した一方で、今季は“聖域なき采配”も断行。入団1年目から遊撃の定位置を守ってきた京田に対し、プロ人生初の2軍降格を告げた。その間、昇格してきた堂上直倫が存在感を見せた時期もあった。投打ともに積極的な入れ替えをしながら、やりくりしていくのは後半戦も変わらないだろう。選手個々の状態や将来性を見極めながら、白星も拾っていく難しい舵取りになるのは間違いない。

(Full-Count編集部)

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