北京五輪での“GG佐藤の悪夢”再来は御免… 柳田の復活計画に慎重を期すワケ
強化試合では打席に立たせない方針「守備だけとか、代走から守備とか」
対照的に、稲葉篤紀監督は実に慎重。「本人は今のところ痛みが出ていない、打っても大丈夫だと言うので、ステップとしては一段階上がったと思う」と認めつつ、24日と25日の強化試合では「守備だけとか、代走から守備とか、そんなことを想定しています」と打席に立たせない方針。「まだ緩い球を打っただけなので、24日と25日にもうちょっと速い球を打ってもらって、次の日の状態も見て、問題がなければ(強度を)上げていく。そういう段階をしっかり踏んでいきます」と説明した。
脇腹はデリケートな箇所で、いったん癒えた痛みが再発するケースも多いだけに、稲葉監督が慎重を期すのも無理はない。しかし、強化試合で打席に立たないとなると、五輪は“ぶっつけ本番”。28日の初戦は、16日の球宴第1戦(3打数1安打)以来12日ぶりの実戦での打席となる。
また、柳田は代表選手中ただひとり、センターを本職とするプレーヤー。強化試合では代役として日本ハム・近藤健介外野手が中堅で先発する予定だが、近藤にとってはプロ入り後公式戦では1度も守ったことがないポジションである。稲葉監督は「(先発は)コンちゃん(近藤)になると思いますが、何が起こるかわからないので、誠也(広島・鈴木誠也外野手)にも少し(センターを)やってもらおうと考えています」と語った。
2008年の北京五輪で、普段右翼手のG.G.佐藤(当時西武)が左翼を守り、痛恨の3失策を犯した例を挙げるまでもなく、重圧の強まる大舞台で慣れない守備位置に就かせるのはリスクが高い。強化試合だけで済めばいいが、万が一五輪本番でも柳田が先発できない事態となった場合、侍ジャパンは大きな不安を抱えることになる。だからこそ、慎重の上にも慎重を期して、柳田に本番の打席に立ってもらわなければならないわけだ。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)