猛打の陰で得た“副産物” 4年ぶり夏の甲子園、盛岡大付が「ミス0」で勝てた訳

盛岡大付・関口清治監督【写真:荒川祐史】
盛岡大付・関口清治監督【写真:荒川祐史】

守備練習は木、金だけ「逆に集中してできている」

 最後のアウトを取ると、盛岡大付の関口清治監督はホッとしたように帽子を脱いだ。24日に岩手県営球場で行われた全国高校野球選手権の岩手大会で、花巻東に9-4で勝ち、甲子園の切符を手に入れた。自慢の強力打線を武器に岩手の頂点に立った一方、監督も驚く“副産物”もあった。

「3年生を中心に頑張ってくれた。3年生に感謝したいです」。試合後、関口監督はナインに感謝の言葉を述べた。春季大会の決勝で0-15で完敗した宿敵・花巻東を倒しての甲子園出場に、喜びを露わにした。

 伝統の強力打線を、今年も築き上げてきた。「攻撃が1番の守り」と関口監督が話す通り、今大会も4試合で41得点と打線が爆発。この日も初回に、3番・金子京介内野手(3年)の大会最多記録を更新する5号ソロで先制した。1度は同点に追いつかれるが、8回に一挙5点をとって勝ち越し。終わってみれば14安打9得点の猛攻だった。

 その一方で、守りにも成長は現れた。今大会通じ、失策はゼロ。特効薬があったわけではない。「特に変わったことはやっていないんですがね……。春からはもっぱら打撃練習ですから。守りの手応えは感じていませんでした」。関口監督自身も不思議な気持ちはあったと話す。

 ただ、心当たりはある。強豪校との練習試合と、曜日ごとに固定したメニュー。「うちはナイター設備が整っていないので、練習時間が短い。だから、練習メニューは曜日ごとに決めているんです。守備練習は木、金だけ。その日は1日守備練習です。逆にそっちの方が集中してできているんですよね」。さらに、春から夏にかけて八戸学院光星(青森)や聖光学院(福島)ら、東北地方の強豪と練習試合を多数組んだ。「強い当たりがたくさん来るから。慣れてきていたというのは感じていますね」。意識はしていなかったが、振り返ると無失策には確かな理由があった。

 2017年以来、4年ぶり11度目の夏の甲子園。「まだまだ、勝つべくして勝っているチームではないので。甲子園まで時間あるので、打撃、守備、精神面でもレベルアップして戦いたい」。強力打線に堅守を加えたチームは、夏の大舞台でも高みを目指す。

(川村虎大 / Kodai Kawamura)

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