巨人助っ人左腕が侍ジャパンの脅威になる? 元燕コーチが語る特徴と“攻略法”
元燕コーチ野口寿浩氏「右打者は“真っスラ”が邪魔になる」
東京五輪の野球競技は28日、福島県のあずま球場で開幕を迎える。野球日本代表「侍ジャパン」は開幕戦でドミニカ共和国と対戦。悲願の金メダルを目指す侍ジャパンの前に、巨人の左腕が立ちはだかる可能性がある。
それがCC・メルセデス投手だ。今季5勝1敗、防御率2.31と好調だ。昨年10月に左肘のクリーニング手術を受けた影響で出遅れたものの、6月4日の今季初登板以降、6試合に先発して安定した投球を続け、東京五輪のドミニカ共和国代表にも選ばれた。
ドミニカ共和国代表はメルセデスの他、同僚の巨人エンジェル・サンチェス投手、メジャーで本塁打王2度の実績を誇るホセ・バティスタ内野手、メジャー通算1962安打のメルキー・カブレラ外野手らも名を連ねている。来日5年目で日本野球を熟知するメルセデスが先発してきてもおかしくない。
現役時代にヤクルト、阪神など4球団で21年間捕手として活躍した野球評論家・野口寿浩氏は、ヤクルト1軍バッテリーコーチを務めた2018年にメルセデスと対戦している。「当時ヤクルトの打者たちは、右打者のインコースに食い込む“真っスラ”を『邪魔になる』と言って最も嫌がっていました」と証言。微妙ながらナチュラルにスライドするストレートで、球速も146~147キロを計測。チェンジアップやスライダーを効果的に使う上でも鍵になる球だ。
野口氏は「この“真っスラ”があるので、侍ジャパンでいえば山田哲人のような右打者にとっては打ちにくく、むしろ柳田悠岐、吉田正尚ら左打者にはそれほどでないかもしれない」と見る。
一方で「スライダーのコントロールは意外にアバウト。甘いコースに来るか、もしくはワンバウンドするくらい低くなることが多い。打者としてはボール球に手を出さず、甘い球をミスショットしないことが大事でしょう」と分析する。7月10日に行われた阪神戦でも、外角を狙ったスライダーが真ん中低めに入った所を佐藤輝に右前打され、サンズには甘く入ったインローのスライダーを左翼席に運ばれるシーンがあった。
いずれにせよ簡単に攻略できる投手ではない。その他、米国代表にはDeNAの主砲オースティンやソフトバンクのマルティネスがおり、各国に日本と縁のある選手が数多く代表メンバーに名を連ねている。ファンにとって頼もしい助っ人が、東京五輪では侍ジャパンにとって難敵に変わる。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)