「タイミング取りにくい」自負する天性の間 ロッテ開幕投手の原点は“中日エース”
学生時代に憧れたのは中日で活躍した精密機械
捕手が構えたところにボールが吸い込まれる感覚――。中高生の頃、テレビで見た中日・吉見一起投手の投球に目を奪われた。
「中日戦を見る機会は日本シリーズくらいしかなかったんですけど、見るたびにいいピッチングをされていて、『こうなりたいな』というピッチャー。小さいころからカッコイイなと思っていました」
憧れたのは剛速球で打者を圧倒する投手ではなく、打者との駆け引きと球の出し入れで試合を支配する投手。中日の黄金期を支えたエース右腕に、自分の姿を重ね合わせた。
「他にも藤川(球児)さんとかもカッコイイなと思っていましたけど、やっぱり自分の目指すべき場所は、剛速球の投手というよりも、コントロールの良い投手」
独特なフォームと、磨いてきた制球力。2つの武器で今季はプロ8年目にして初の開幕投手を掴み取ったが、前半戦を終え4勝4敗、防御率3.97。昨季のような安定感は発揮できずにいる。
「悔しさはもちろんありますけど、まだ1年終わったわけではないので。シーズンも残っていますし、優勝する可能性も全然大きいと思うので、今はとにかくそこに向けて、後半は戦力にならないといけないなと思います」
37勝34敗の3位で前半戦を終えたロッテ。石川歩、美馬学らも離脱し、先発防御率が12球団で11位の4.41と先発陣が苦しんだ。2010年以来の日本一へ、幕張の“精密機械”が、巻き返しを期す。