“決勝ホームスチール”成功が証明した準備の大切さ 13年ぶり出場の日本航空が勝利

決勝のホームを踏んだ日本航空・久次米陸士(右)【写真:共同通信社】
決勝のホームを踏んだ日本航空・久次米陸士(右)【写真:共同通信社】

前半は両軍無得点…重苦しい展開をぶち破ったホームスチール成功

 2年ぶりに阪神甲子園球場で行われた全国高校野球選手権で、10日の第3試合に登場した日本航空(山梨)は、4-0で東明館(佐賀)を下した。前半、両軍ゼロ行進の緊迫した展開を動かしたのは6回、日本航空の久次米陸士主将(3年)が決めた決勝ホームスチールだ。周到な準備が実り、2回戦に駒を進めた。

 どんなに可能性が低いプレーでも、練習しておかなければ成功はない。日本航空は6回の攻撃で、2死一、三塁の好機をつかんだ。打席には4番の和泉颯馬外野手(3年)。ここでベンチから出たのが重盗のサインだ。2球目、一走のエドポロ・ケイン外野手(3年)がスタートを切り、捕手は二塁へ送球、わずかな成功へのタイミングを見逃さず久次米が本塁へ突入した。タッチをかいくぐってセーフとなり「タイミングはアウトかもしれないけど、気持ちでタッチをかわしました」と決勝の1点を振り返った。

 言葉とは裏腹に、確信があった。「練習から準備して取り組んできたことを、しっかり本番で出せました」としてやったりだ。頻度は高くないが、試合形式の走塁練習を行うたびに、意識を高めて取り組んできた。捕手の手からボールを離れるタイミングでスタートを切れれば、絶対にセーフになるというところまで確度を追い求めてきた。

 この貴重な先制点への道筋をつけたのは「3番・中堅」で先発したエドポロだ。6回の守備、2死一、二塁から東明館の成澤空舞外野手(3年)の打球は鋭い中前へのライナー。この打球に猛チャージすると、本塁へノーバウンドのストライク送球で二走を刺した。「絶対に点を与えてはいけない場面、アウトにすることだけを考えて投げた」。その裏の決勝点へ、見事に流れを引き寄せた。

 エドポロは8回、今度はバットで魅せた。1点を追加しなお1死二塁から、右翼フェンス直撃の適時二塁打を放った。「入ったと思ったんですけど、入りませんでしたね。まだまだ練習不足」。一塁を回ったところで思わず右手を突き上げ、大きくジャンプしたのもご愛敬。外角高めの直球をはじき返した一打はまた「こういう打撃を練習してきた」という納得の一打。準備の重要性を再認識させた。

 走・攻・守で輝いたエドポロは将来の目標を「メジャーリーガーになってホームラン王」とでっかく掲げる。憧れの選手は、エンゼルス大谷翔平投手と激しく本塁打王を争うブラディミール・ゲレーロJr.内野手(ブルージェイズ)で「力強いバッティングができるのに、率も残せるのは凄い」とぞっこんのほれ込みよう。準備してきたビッグプレーをまた繰り出し、夢の世界へと近づいてみせる。

(羽鳥慶太 / Keita Hatori)

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