太っ腹援助した涌井の“気を遣わせない気遣い” 球場に異例の出店、元捕手の挑戦

涌井は「誰がエラーをしても顔に出さない。そういうのも気使いなんだなと…」

「相手に気を使わせないように、気を使う」。そんな心遣いは、プレー中にも感じることがあった。

「エラーした時にピッチャーの表情を見ちゃうじゃないですか。顔に出されたら『自分のところに飛んでこないでくれ』と思ってしまう。でも涌井は、内心は色々あると思いますが、誰がエラーをしても全く顔に出さない。そういうのも気使いなんだと思います」

 涌井の協力もあり、今年3月のオープン以来多くのファンが訪れ、店に立つ米野さんに声を掛けていく。近い距離で接し、ファンの野球への熱い思いを感じている。

「これだけ人々に愛されるスポーツなんだなと、選手を離れて改めて感じています。皆さんがいい試合を見られるのが一番ですが、負けてしまった日でも『あそこのお店のあれが美味しかった』と少しでも記憶に残ってくれたら嬉しいです」

 米野さんは、出店に力を貸してくれたかつてのチームメートやファンの思いを胸に「長く愛されるお店にしたい」と、新たな夢に向かって挑戦を続けている。

(篠崎有理枝 / Yurie Shinozaki)

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