母親仕込みの“野茂ワインドアップ” 阪神Women・坂東の復活支えたレジェンド

阪神タイガースWomenの坂東瑞紀【写真:川村虎大】
阪神タイガースWomenの坂東瑞紀【写真:川村虎大】

三浦の紹介でパーソナルジムに、2年で球速は14キロアップ、防御率は2点以上改善

 2018年に坂東が京都フローラに移籍してチームメートに。当時すでにMVP1回、首位打者2回、ベストナイン6回を誇る女子球界のレジェンドだった三浦。それでも、まだ3年目だった自分に、積極的に話をしてくれた。

「投げているときに打席に立ってくれて、『この球は打ちやすいよ』『これは打ちにくいね』って打者目線でアドバイスをくれました」

 復調できたのも、大先輩のおかげだった。2018年オフに三浦に紹介されたパーソナルトレーニングジム「からだオーダー」に入会。一からフォームを見直した。「ひとつひとつの動作を細かく指導してくれて、パワーの出る体のバネの使い方を学びました」。フォーム改造に不安もあったが、結果はすぐに現れた。翌2019年には、最速108キロから116キロに。さらに2020年には122キロまで伸びた。それに伴い防御率も2.09、1.48と大きく向上した。

 2020年に女子プロ野球を離れ、今年創設された阪神タイガースWomenに加入。3年ぶりに三浦と一緒にプレーする。「個々のレベルが高いチームだが、チームとしてもまとまってきた。伊織さんが主将をしているから」と、話す。今では、面倒見のいい「お姉ちゃん」のような存在。野球以外の相談もし合う仲だ。

「あの時、伊織さんと出会っていなかったら、野球をやめていたかも」。今年の女子野球日本代表「マドンナジャパン」のメンバー入りを果たし、復活を遂げた右腕は、その恩を忘れない。「選手として、中学生や若い子たちに憧れられる存在になりたい。そして少しでも女子野球に関わり続けたい」。次は自分が若手を支える番だ。

(川村虎大 / Kodai Kawamura)

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