東京五輪の“不思議な縁”に導かれた8人 初出場の東北学院支える「イタリア組」

イタリアでの試合の様子【写真提供:伊東大夢の母・裕子さん】
イタリアでの試合の様子【写真提供:伊東大夢の母・裕子さん】

福島・日大東北にも2人、仙台市選抜の15人中10人が甲子園切符

 8人の中には当初、別の高校を見据えていた選手もいたが、進学状況など偶然が重なって“集結”。その場所が、私学で学力が高く、文武両道で進学率がほぼ100パーセントの東北学院だった。

 彼らの入学直後、東北学院は春夏秋を通じて初の県ベスト4入りを果たした。宮城3位で出場した東北大会は初戦をコールド勝ちすると、2回戦で花巻東(岩手)を下して8強入り。準々決勝はサヨナラ負けしたが、大健闘だった。スタンドから見た先輩の背中を指針に練習に励み、最上級生となったこの春も、県大会で3位になった。そして、迎えた夏。8人中7人がベンチ入り。4人がレギュラーとしてチームの中心を担った。

 宮城大会は逆転勝ちを続け、初めて決勝へ。仙台三に対し、3回に2点を先制されたが、試合をひっくり返してきた東北学院は慌てない。5回に打者13人の猛攻で8点を奪って逆転。6回に3点を返されたが、9回に4点を奪って突き放し、12-5で甲子園切符という“金メダル”をつかんだ。宮城大会でチームトップの11打点を挙げた攻撃の要・及川健成(仙台宮城野シニア)は「すごいっすよね、本当に。これも何か、運命とまで言わなくても、縁があると思います」と喜んだ。

 甲子園を掴み取った“イタリア組”は、東北学院の8人だけではない。18年ぶりに出場する日大東北(福島)にも、仙台市選抜のメンバー2人が所属している。「9番・三塁」の相澤柊吾(仙台中央シニア)は福島大会の決勝で2打数2安打1打点。4-4の9回裏には、1死一塁で犠打を決め、1番・大塚健太外野手(3年)のサヨナラ打につなげた。

 15人中、10人が甲子園に辿り着いた。昨夏の独自大会も含め、宮城は仙台育英が4年連続で、福島は聖光学院が14年連続で夏を制覇している厳しい状況での快挙。グループラインでは「東北学院、おめでとう」「日大東北、おめでとう」と盛り上がったという。「学院に15人中、8人が来たというのもすごいと思うんですけど、他の学校、県でも活躍した人が多い」と及川は胸を張る。

甲子園に行けなくても地方大会で躍動した“イタリア組”たち

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