大阪桐蔭で強力打線を形成し2度の甲子園 謝敷正吾さんが社会人で味わった挫折と現在地

明大、BC石川を経て2014年に「オープンハウス」に入社【写真:編集部】
明大、BC石川を経て2014年に「オープンハウス」に入社【写真:編集部】

営業スタイルを見直して成績上昇、現在は社長室で勤務

 営業スタイルも見直した。「お客様に『これが一番いい』と自分の目線で提案して、考え方を押し付けていた。自分優先ではなく、仕事では相手に置き換えて考えるようにしないといけない」。謝敷さんの考え方は、野球は団体競技であっても、基本は個人間の勝負。自分が打つことを中心に考えて実績を積み上げてきた。しかし、社会人でもがき苦しみ、それまでのスタイルやプライドを捨てた。その結果、営業成績は上がり、入社2年後に販売の管理職を任された。

 謝敷さんは約6年の営業を経て、現在は社長室で勤務している。荒井正昭社長の頭の中や心の中を想像し、先を読む。まさに、相手の立場にならなければ務まらない仕事だ。「まだまだ毎日が反省の連続」と話すが、会社のトップの考え方を直接知ることができるポジションにやりがいを感じている。入社当初と違い「合っていることでも、何か違うのではないかと不安に思う気持ちが圧倒的に強い」と過信はなくなった。

 オープンハウスは不動産会社でありながら、スポーツ振興にも力を入れている。野球では2018年からはヤクルトのトップスポンサーを務め、同じ神宮球場で行われている東京六大学野球連盟のスポンサーでありライブ配信サービスの「BIG6.TV」のタイトルパートナーも務めている。

 選手のセカンドキャリア支援にも力を入れており、六大学野球の選手が新卒で続々入社。中途入社でもセカンドキャリアパートナーを務めているBCリーグ所属選手を昨年度は2人採用した。野球一筋の道を歩んできても、結果を出せば社歴や年齢を問わず評価される。

 野球で栄光を手にした謝敷さんは、社会人で挫折を経験して再び輝ける舞台を目指している。「野球をやっていたことを活かして、不動産だけではなく、力を注いでいるスポーツ振興で責任を背負う立場になりたい」。恰好がユニホームからスーツに変わっても、野球への熱意と挑戦意欲は変わらない。

【画像】懐かしい16年前の夏、辻内、平田、中田と収まった大阪桐蔭時代の貴重な一枚

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