ハイレベルすぎるパ新人王争い 宮城大弥、伊藤大海、早川隆久の特徴と凄みとは?

宮城はすでにリーグ代表する左腕 3人とも特徴異なるのが魅力

 宮城は沖縄・興南高から、2019年のドラフト1位でオリックスに入団。高卒1年目から1軍3試合に登板し、プロ初勝利も記録した。今季は開幕からローテーションに定着し、19歳の若さにして、リーグを代表する先発左腕へと成長を遂げつつある。15度の先発全試合で5回以上を消化。自責点が4を超えたのは1度だけと抜群の安定感を発揮している。勝率.909はリーグトップ、防御率と奪三振は、同僚の山本由伸投手に次いで2位だ。

 速球は140キロ台と目を見張る速さがあるわけではないが、横に変化するスライダー、縦に落ちるチェンジアップ、より遅い球速から大きく曲がるカーブはいずれも、空振りを奪える変化量を持つ。打者にとっては非常に的を絞りづらく、緩急をつけることで速球も数字以上の威力を発揮する。

 最後に、各種指標から3人の特徴を読み取ってみよう。

 伊藤は82回1/3を投げ87奪三振と、投球回を上回る奪三振を記録している。制球には課題を残すものの、1年目からこれだけのペースで三振を奪っているのは特筆ものだ。成長を続けていけば、将来的に最多奪三振のタイトルを獲る可能性もあるだろう。

 宮城も100回1/3で96奪三振と、奪三振は投球回とほぼ同じ。加えて9回あたりの与四球が2.24個と水準以上の制球力を備える。一般的に3.50を上回れば優秀とされるK/BBも、3.84とかなり優れている。奪三振と制球の双方を高いレベルで両立していることがわかる。

 早川は奪三振率が8.47と十分に高い水準ではあるものの、2人には多少後れを取っている。ただ最大の長所は、なんといっても制球力。与四球率が1.69、K/BBが5.00と、いずれも新人ながら、既に球界屈指のレベルにある。

 最も奪三振能力に長けた伊藤、奪三振と制球力の双方で高水準の宮城、抜群の制球力を持つ早川と、各投手の長所が異なるのが今季の新人王争いの特徴だ。

 3投手の特徴や持ち球を把握して投球を見れば、より具体的に“良さ”が浮かび上がってくるかもしれない。若き好投手が見せる圧巻のピッチングと、熾烈さを極める新人王争いから、最後まで目を離すことができない。

(「パ・リーグ インサイト」望月遼太)

(記事提供:パ・リーグ インサイト

RECOMMEND

KEYWORD

CATEGORY