この夏、甲子園に立つ女子高生へ――史上初の兄妹プロ選手・川端友紀が贈るエール

信じられないほど女子野球界が変化「高校でやってみたかった」

 かつての川端のように、野球を離れざるを得なかった結果、ソフトボールの世界に足を踏み入れる女子も多い。野球に生かせた部分はどこだろうか。「私は投手だったので、徹底的な下半身強化は役に立ったと思います。走り込み、投げ込み、体力面の強化と、積み上げてきたものはめちゃめちゃ大きかった。打撃にも生かせたと思いますね。あとソフトボールではやはり、距離が近い分球を早く感じる。速球に対する反応なども身についたと思います」。すべてが大切な経験だ。

 プロ入り当初は、3年できればいいと思っていた。気が付けば2018年まで9年間プレーし、初年度を含め首位打者3回、MVP1回、通算打率は驚きの.373という、リーグの“レジェンド”へ上り詰めていた。「こんなにやるなんて思いませんでしたよ。3年でどこまで成長できるのかなと思っていました。そのうちにもっと上を目指せる、まだ行けるとなって今に至りますね。終わりがないのが野球の楽しさ。今も味わっていますよ」。プロ退団後は一時現役から退いたものの、現在のチームにコーチ兼任で加入。それも女子野球のさらなる普及に、選手としてのほうが貢献できると思い直したからだ。

 自らはソフトに熱中していた高校時代。人生一度しかない3年間を、野球に賭ける女子が少しずつ増えてきた。川端にとっての甲子園は、兄が出場した時に応援に行った場所。「ワンプレーで球場が揺れるんですよ。観客も一つになっている感じですごいな、マウンドに立っている人はどんな気分なんだろうと思いました。想像しきれませんよ。グラウンドに立ってみたいですよね」と、当時の記憶も鮮明だ。そこに立つ女子の姿はまさに、時代が変わっていこうとする象徴だ。

「今なら私も、高校で野球やってみたかったです。私たちの時代には、野球をやっている未来は想像できなかったけれど、戻れるのなら中高で野球をやってみたかったなと思いますね」

 女子高校野球、そして甲子園を経験した女子が、いつか川端のもとにもやってくるだろう。女子野球の世界を多くの人に知ってもらうため、この夏甲子園に立つ2校には、最高の経験をしてほしいと願っている。

【写真】リトルリーグ時代のお宝写真! 兄・慎吾との貴重な1枚

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