DeNAから2発の阪神ドラ1佐藤輝 対策を上回る進化に三浦監督「いろいろ考えながら…」
内角高めを右翼席へ、内角低めを左中間席に運ばれた
この日のDeNAはどうだったか。先発の左腕・浜口遥大投手は1回1死満塁でカウント3-1から外角高めに浮いたチェンジアップを捉えられ、右翼フェンス直撃の先制適時打を許した。ボール球を使えない状況もあり、これは失投の部類だろう。
しかし3回には、内角速球と外角低めスライダーでカウント1-2と追い込んでいた。ところが6球目の内角高め141キロを、巧みに肘をたたんで右翼席へ運ばれてしまった。さらに6回、カウント1-1から難しい内角低めの137キロを、逆方向の左中間席へ打ち込まれてしまう。内角球に見事に対応した2発は、DeNAにとって誤算だったはずだ。
7回には最速163キロを誇る左腕エドウィン・エスコバー投手を投入し、初球の内角への148キロのツーシームで詰まらせ二ゴロ。9回にも左腕の櫻井周斗投手が外角低めへのカットボールで追い込み、最後はワンバウンドとなるナックルカーブを振らせて三振に仕留めた。逆に言えば、この日の佐藤輝はこれくらい特殊な球でなければ抑えられない状態だったかもしれない。
もちろん好不調の巡り合わせもある。7月は月間打率.227(44打数10安打)と低調だった佐藤輝だが、東京五輪開催に伴う中断期間中、エキシビションマッチで5本塁打を量産し、上り調子で後半戦を迎えていた。
いずれにせよ、対策を上回る進化を見せつけられた衝撃は小さくない。三浦監督は「また明日、いろいろ考えながら攻めていきたい」と語った。怪物ルーキーに対し、どんな形でプロの意地を見せるか。