巨人・岡本和真が仕留めた1球 リーグトップ31号に込められた4番の矜恃
2冠へ突き進むも…「過度な期待は持たないでください!」
■巨人 5ー3 広島(25日・東京ドーム)
初球をひと振りで決めた。巨人は25日、本拠地・東京ドームで広島と対戦。主砲の岡本和真内野手が3-3の同点の8回1死一塁、勝ち越しの31号2ランを放った。打った相手は広島最速165キロ右腕のコルニエル。157キロの初球を捉えて、左中間席へ運んだ。序盤からチームは劣勢だったが、巨人投手陣の粘りもあった。その奮投に報いる一発となった。【楢崎豊】
軽く打つタイムリーあり、そして最後は豪快な一発で締めくくった。コルニエルの球速を頭に入れ「クイックも速いので、見ていくと追い込まれてしまう」と打席で思いを巡らせた。とにかく初球から振っていこうと決め、構えた。高めの157キロを左中間席へ。リーグトップとなる31号2ランとなった。
序盤から苦しい展開だった。先発の直江大輔投手の制球が定まらず、1回1/3で降板。原監督は勝利のため、早い判断を下した。この采配が白星を呼び込んだ一番のポイントではあるが、6回までを左腕の大江、高梨が左打者の多い広島打線を無失点。その後も畠、中川、ビエイラがその指揮官の期待に応えたことも見事だった。
2番手の大江は2回1死一、二塁の大ピンチも小園を併殺に仕留めた。3番手の高梨も2回無失点。試合を作り直し、流れを呼び込んだ。リリーフ陣の粘りは野手を刺激する。岡本和は「いつも中継ぎの方々は頑張っているので、野手も打たないといけない。そういう中で打ててよかったです」と感謝の思いを伝えた。
そこで魅せた4番の仕事。ここぞの場面で打つ男への期待は大きい。ヒーローインタビューで、本塁打、打点の2冠へ突き進む岡本和は数字(成績)について問われると「過度な期待は持たないでください」と控えめに笑った。2018年の33本塁打、100打点のキャリアハイの成績も超える勢いだが、「結果的に超えれればうれしいですが、あまり意識することなく、1打席、1打席を大事にしたいなと思います」。その姿勢が大事なところで生まれる一本に繋がる。
26日の広島戦(東京ドーム)では戦列を離れていたエースの菅野智之投手が先発する。8月19日のイースタン・ロッテ戦では4回1失点で150キロも計測。首位奪取へ、ピースはそろいつつある。投手が崩れれば野手がカバー。そして今度は投手の番――。チームは今季最多の貯金14。このサイクルが強いチーム力を生み出していく。
(楢崎豊 / Yutaka Narasaki)