どうなるパ・リーグ最多勝争い 大混戦を演じる4人の投手の特徴と強みは?
奪三振率やK/BBで優れる宮城と山本、打たせて取る高橋と岩下
では、今回取り上げた4投手をセイバーメトリクスの分野で用いられる指標をもとに分析していきたい。
山本と宮城は奪三振率と与四球率だけでなく、3.50を超えれば優秀とされるK/BBにおいても優れた数字を残している。制球力と奪三振率の双方が優れているという両投手の特徴が表れていると言える。とりわけ、山本はイニング数を上回る奪三振を記録しており、与四球率も2.00を下回るという、素晴らしい水準の投球を見せている。
それに対して、高橋と岩下は奪三振率とK/BBはそこまで高くはなく、打たせて取る投球を主体としていることがわかる。与四球率がやや高くなっている点は少し気がかりではあるが、速球とフォークを武器とする本格派の2投手が、いずれも三振を狙いに行くのではなく、打たせて取って結果を残しているという点は興味深いところだ。
昨季は短縮シーズンということもあり、2桁勝利を挙げたのはリーグ全体で4人のみ。最多勝は11勝の3投手で分け合うという、過去に類を見ないシーズンとなった。今季は宮城が既に10勝を挙げているように、数字の面でも昨季とは趣の異なる争いとなることは間違いなさそう。果たして、シーズンが終わった時に最多勝のタイトルに輝いているのは、どの投手になるのだろうか。