球団史上初の偉業達成へ 西武・栗山巧の“生え抜き2000安打”が持つ意義とは

ライオンズからFAで移籍した選手【表:PLM】
ライオンズからFAで移籍した選手【表:PLM】

2016年オフにFA権を行使して西武に残留、“チーム愛”を示した

 ライオンズの生え抜きで2000安打を達成する選手は、栗山が初めてとなる見通し。一方で、ライオンズでキャリアをスタートさせた後に、他球団で2000安打を達成した選手は秋山幸二氏、清原和博氏、和田一浩氏、松井稼頭央氏の4人がいる。他球団からの移籍を経てライオンズの一員として2000安打を達成した選手も江藤慎一氏、土井正博氏、山崎裕之氏がいる。

 これまで生え抜きでの2000安打達成者がいなかった理由としては、FA、米球界挑戦、トレードといった理由で、ライオンズを離れる選手が少なくなかったことが挙げられる。NPBで1993年にFA制度が導入されて以降、FAでライオンズから他球団に移籍した野手は数多く、1994年オフにダイエー(現ソフトバンク)に移籍した石毛氏から、2019年オフに米大リーグのレッズへ移籍した秋山翔吾外野手まで11人いる。

 他にも秋山幸二氏は1993年オフの大型トレードでダイエーに移籍。投手として通算224勝を挙げた工藤公康氏もFAで他球団に移籍した後に名球会入りの瞬間を迎えている。

 それでも西武は2018年、2019年のリーグ連覇を含め、2010年からの11年で8度Aクラスに入っている。主力の流出に直面しても新たな戦力が台頭し、チーム力を大きく落とさなかったという伝統はあるが、退団が相次ぐことは球団にとっても痛手となる。

 そんななかで、栗山は2016年にFA権を行使した上でその日のうちに残留を発表。「これからも埼玉西武ライオンズでプレーしたいという意思が、今回のFA宣言と残留を決めたことになりました」とコメントを残し、自らの行動をもってチーム愛を示した。

 さらに栗山と同学年で、同じく2001年のドラフトで西武に入団した中村剛也内野手は2018年オフにFA権を行使し、即日残留を宣言。栗山と中村という“重鎮”が残留を選択したことは、後輩たちの考えにも影響を与えているかもしれない。

 具体例を挙げると、2019年に十亀剣投手、2020年に増田達至投手がそれぞれFA権を行使した上で残留を選択している。生え抜きとして西武を支え続ける栗山の2000安打という大記録は、ライオンズに残り生え抜きとして活躍し続ける意義を示すものにもなるだろう。

チャリティ活動にも積極的、2014年に「ゴールデンスピリット賞」受賞

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