左対左でも打者は不利じゃない? DeNA三浦監督の光った采配と伏線

「クス(楠本)は、自分に対して相手が投手を左に代えてきたことをポジティブにとらえていた」

 この起用には伏線がある。8月31日の広島戦、7回に三浦監督は「代打・楠本」を送ったが、ここで相手投手が右腕の島内から左腕の塹江にスイッチされると「代打の代打」で蝦名を送った。楠本は打席に立てずじまいだったが、三浦監督によると「クス(楠本)は、自分に対して相手が投手を左に代えてきたことをポジティブにとらえていた」。自分への警戒感が伝わり、気分は悪くなかったというわけだ。

 これでひらめいた三浦監督は、翌9月1日の同カードで、相手の先発左腕・玉村に対しあえて代打・楠本をぶつけて、左前適時打を引き出した。指揮官と選手のコミュニケーションが生んだ一打と言えるだろう。楠本の対左投手の成績は、今季6打数4安打(打率.667)となり、当面「左対左」を不利ととらえる必要はなさそうだ。

 7日現在リーグ最下位のDeNAだが、4位・広島、5位・中日を含め1ゲーム差内にひしめいている。ここにきて“ハマの番長”の采配に特徴が見えてきた。まずはBクラス内の争いから抜け出し、さらに上を目指す。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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