ライバル猛追も 大谷翔平、熾烈なHR王争いで見せる“真髄”「来年もっといい成績が」

バーランダー完敗時にも見せた“イキイキ顔”「クリアしていくことで自分のレベルが上がる」

 もちろん簡単な戦いではない。ペレスが後半戦21発とアーチ量産。ゲレーロJr.が14発を放ち、大谷は11発。両スラッガーに比べると本塁打数を伸ばせていない。だが、自分さえ見失わなければ勝機ありと日本人スラッガーは見ているようだ。「1打席1打席、冷静に打てれば、必ずいい結果が残るかなと思います」。堂々の宣言も出た。

 前にもこんな“イキイキ顔”を見たことがあった。2018年5月16日の本拠地・アストロズ戦。2度のサイ・ヤング賞右腕・バーランダーに4打数無安打3三振と完敗した時だ。「野球をやってきて1番速い球じゃないかなと思います。ここまで品のある球というか、スピードもそうですけど、なかなか経験したことがない」と脱帽。その後に、こう言葉をつないだ。

「これをどうプラスにしていくかによって、次の対戦の結果がだいぶ違ってくると思う。そこ次第かなと。もちろん素晴らしい投手なのでなかなか打ち崩すのは難しいと思うんですけど、手強いなというよりは、そこをクリアしていくことによって自分のレベルが上がっていくのかなと思います」。その後、同投手から10打数で1本塁打を含む3安打。きっちりやり返した。

 この日の一発は左腕・バルデスの決め球、内角シンカーを捉えた。試合前まで通算11打数1安打。相性は良くなかった左腕から先制弾を放った。「ああいう難しいボールを逆に打てれば、来年以降もっともっといい成績が残るんじゃないかなと思っています」。新たな自信もつかんだ。

 残り21試合。4位のブルージェイズ・セミエンも後半戦16発と量産しており、本塁打王争いはシーズン最終戦までもつれることになるだろう。ただ、熾烈な争いだからこそ野球がうまくなれる、劣勢の時こそ成長のヒントがある――。この日のイキイキとした表情から改めて野球人・大谷翔平の“真髄”を見た気がした。

(小谷真弥 / Masaya Kotani)

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