「3度目の戦力外は言われたくない」元ロッテ成瀬が独立Lで現役にこだわるワケ
2017年に1度引退を考えるも翌年に翻意「まだできるじゃんって」
ずっとその目標を持ち続けられたわけではない。ロッテからFAでヤクルトに移籍した3年目の2017年、現役引退を考えた。「よく言う『心と体がついてこない』と言う感覚でした。自分の持ち味の球が投げられない、投げたい球が投げられない。その時に、来年この状態だったらやめようと思いました」。
背水の陣で臨んだヤクルト4年目の2018年は1軍未登板。戦力外通告を受けたが、自身の感覚は違った。「色々変えたら、自分の中でパフォーマンスが上がったんですよね。その時に『まだできるじゃん』って。それからやめたいとは思わなくなりましたね」。その後、入団テストをへて2019年に加入したオリックスでは1年で戦力外に。たとえNPBでなくても現役にこだわろうと、ふるさとに戻った。
34歳、コーチ兼任での入団。チームに求められていることは分かっていた。若手世代の育成。それでも、現役で投げ続けることが指導に生きると信じている。
「失敗談も成功談も言える。コーチって上からああしろ、こうしろって言うことができる。でも、実際自分がマウンドに立ったらその状況は変わるじゃないですか。その方が伝えやすいので、自分が投げられるうちはマウンドに立ち続けようかなと思っています」
テークバックが小さく球の出どころが見にくい“招き猫投法”は今も健在。成瀬の現役は終わらない。体が動く限りは、NPBを夢見る若手に背中を見せていく。
(川村虎大 / Kodai Kawamura)