反省の日々を過ごし、教え子と野球支援で“再出発” 前横浜高監督・平田徹氏の今

保育園や幼稚園に寄贈した野球道具で子どもたちが楽しむ姿に喜び

「自分の顔と名前をさらして活動するのは抵抗がありました。そんなつもりはなくても、『今度は野球で金儲けか』と思われるかもしれないと不安がありました。ただ、教え子に背中を押してもらい、勇気を出して前に進もうと思いました」

 批判の声は必ず上がる。それでも覚悟を決めて、新たな一歩を踏み出した。少年野球の子どもたちに技術指導して、その動画を教え子が運営するYouTubeチャンネルで配信。平田さんは出演料を断り、収益は野球用具の購入費にあてることを提案した。教え子たちも賛同し、収益でスポンジのバットやティースタンド、ゴムボールなどを購入し、保育園や幼稚園に寄贈している。ボールやバットを使って遊ぶ楽しさを知った子どもたちが将来、野球に熱中することを願っている。

 再び野球と関わるチャンスをくれた教え子だけでなく、平田さんの野球理論に共感するアマチュア野球指導者も増えてきている。教え子たちが運営するYouTube「やきゅうbeちゃんねる」に出演した時も「ロングティーの重要性」「スローイングの悩みを解決」「状況判断」「素振りのポイント」など、卓越した技術理論で解説している。子どもたちにもわかりやすく指導し、すぐに形として現れているから興味深い。

 自身の反省も踏まえながら、少年野球指導者と育成論について1時間以上、議論することもある。「皆さん、熱のある方たちばかりなので、こちらも真剣に、押し付けることはせずに『私はこう思います』というような話をさせてもらっています」。2年前と立場は変わった。だが、変わらないものもある。ユニホームを脱いだ平田さんは、教え子とともに新たな道を歩んでいる。

(間淳 / Jun Aida)

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