西武が目の前に抱える課題解消へ光… “地獄を見た男”岸潤一郎が示す可能性

金子の打撃不振で台頭…20試合連続で中堅のスタメン担う

 1年目の昨季は、わずか5試合の1軍出場に終わったが、今季は格段に存在感を増している。盗塁王2度の実績を誇る9年目の金子侑司外野手が打撃不振で8月20日に出場選手登録を抹消されると、同日から岸が20試合連続で中堅でスタメン。打順は9、7、8、1番を経て、8月28日以降2番に定着している。打率は.244ともう一息だが、7本塁打と一発の魅力も秘めている。西武では、長く中堅のレギュラーを務めていた秋山翔吾外野手(現レッズ)が一昨年限りでメジャーへ移籍し、昨季は後釜を固定できなかった。ここにきて岸が限りなくそのポジションに近づいている。

 この日は守備でも魅せた。2点リードで迎えた3回、西川に適時二塁打を浴びて1点差とされ、なおも無死二塁のピンチ。ここで野村がやや浅い中飛を打ち上げ、タッチアップから三塁を狙った西川を、岸は強肩を生かしたノーバウンド送球で刺したのだ。送球はやや右へ逸れたが、三塁手のスパンジェンバーグがダイビングしながらタッチ。当初の判定は「セーフ」も、リクエストを経て「アウト」に覆った。辻発彦監督は「1点差になって嫌な感じだったが、岸がうまく殺してくれた」と称えたが、岸本人は「でも、あれは、スパンジェンバーグがタッチしてくれたので……ありがとうございます」と謙虚に頭を下げた。

 明らかなミスもあった。3-1と2点リードして迎えた7回先頭で、日本ハム4番手・宮西から左翼線二塁打を放ったが、続く森の打席で、宮西から牽制で刺された。チームにとっては喉から手が出るほど追加点が欲しい場面。お立ち台で開口一番「ミスをたくさんしてしまったのですが、勝ててよかったです」と話した。

 レギュラー争いには「必死に食らいついていこうと思います」と強く言い切った岸。まだまだ毀誉褒貶が相半ばするが、スケールの大きな魅力とストーリー性を持つニュースター候補だ。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

朝日新聞スポーツシンポジウム

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