鬼肩は“甲斐キャノン”に匹敵 元G戦士も絶賛…独立Lに潜むドラフト「隠し玉候補」
「捕手の全てを教えてもらいました」成長導いた元DeNAの黒羽根コーチ
栃木の首脳陣は寺内監督をはじめ、ロッテなど活躍した成瀬善久選手兼任投手コーチ、元ヤクルトの飯原誉士ヘッドコーチ、元DeNAの黒羽根利規バッテリーコーチと、NPB経験者がずらり。選手では、メジャーも経験した川崎宗則と西岡剛両内野手、さらにヤクルトで活躍した村中恭兵投手、2011年に横浜(現DeNA)からドラフト1位指名された北方悠誠投手が所属する。
叺田はNPBを経験している選手から学ぶことが近道なのではないかと考えた。だが、その考えはすぐに打ち崩された。「全てが甘いんだなって思いました」。
加入当初は代打や指名打者での出場。捕手を任されることは少なかった。肩の強さには定評があったものの、後ろに逸らしたり、ミットが流れてしまったり……。捕球やブロッキングが課題だった。上手くいかない現状でも根気強く指導してくれたのが、NPB通算361試合に出場した黒羽根コーチだった。
「捕手の全てを教えてもらいました」。最初に変えたのは構え方。後方に重心が残り、ワンバウンドの球への対応がワンテンポ遅れるクセがあったが、重心を前に構えたところ改善。ブロッキングだけではなく、次の動作への移行がスムーズに。必然的に二塁送球タイムも速くなった。
意識が変わった黒羽根コーチの言葉がある。「プロを目指すのではなく、プロで活躍することを目指せ」。口すっぱく言われ、目標を上方修正した。「指名されたその先を考えたい。捕手としてはソフトバンクの甲斐さんのような守備を。打者としてはトリプルスリーを目指したいです」と先を見据える。
今シーズン、BCリーグでは、打率.333(123打数41安打)、3本塁打、OPS.890をマーク。NPBのスカウトも「肩はすごいものを持っている」と評価し、複数球団が調査している。3度目の正直なるか。栃木で一皮も二皮も向けた男は、吉報を待って練習に励む。