1回もたず10失点KOの悪夢から2週間 鷹・石川柊太を甦らせた教訓とは?
「打たれる時は打たれるものだし、そこに大きな意味があるわけではない時もある」
前回登板だった9月19日の楽天戦は5回を投げて3安打2失点。ただ、カーブを引っ掛ける場面が目立ち、2つのデッドボールを含む4四死球を与えた。内容は不安定だった。「自分の中で前々回を深掘りし過ぎた。考え過ぎてしまったのが前回の登板。打者の反応が良くないからフォームが……、とか余計なところを意識してマウンド上でどうしようもなくなった」。工藤監督や投手コーチらとも会話を重ねる中で、徐々に頭の中を整理できた。
投手は打球の結果をコントロールすることはできない。いいところに投げようと打たれる時はあるし、逆に、ど真ん中に投げても抑えられる時もある。操れないことを考えすぎるのではなく、“シンプル”にやるべきことだけにマウンド上ではフォーカスし、打者との対戦に意識を集中させることが大事だった。
「(10失点は)そういう日もあるんだな、というのが印象だった。運要素を感じることができて大きかった。監督にも『シンプルにいけ』と良く言われるんですけど、打たれる時は打たれるものだし、そこに大きな意味があるわけではない時があるので。ストライクゾーンで勝負してダメならダメだよねという捉え方をしていけばいい。誤魔化しながらというのをしてしまうと、自分との戦いになってしまう」
この日は左打者に対してカーブを引っ掛ける場面もなく、三振の山を築き上げた。「結果的にカーブ、ストレート、フォークもカットも使えて、方向性としては今後大きいものなんじゃないかな、と。自分にあまりない低めの意識で投げたりもできて、幅も広げられた。相手が変われば、また違うのかもしれないですけどね」。悪夢を乗り越えて、再び立ち上がった石川。最終盤に向けて、ソフトバンクにとって重要なピースが輝きを取り戻した。
(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)