二刀流の左腕が三塁も… ドラフト候補、愛工大名電・田村が覆す“球界の常識”
左利きの二刀流でパイオニアに「自分の全てを出し切りたい」
右利きの大谷翔平とは反対の、左利きでの二刀流も目指している。田村は身長178センチ、90キロ。最速145キロの直球に、カーブやシュート、フォークなど5種類の変化球を操る。制球力と投球の組み立てに長け「球速が速いのは武器になりますが、150キロでも打たれる投手はいます。投球術を入れないと上の世界でやっていけないと思っています。自分の長所は、味方の攻撃にリズムを生む投球です」と語る。
打者としては高校通算32本塁打。今夏の甲子園でも初戦の東北学院(宮城)戦で右中間へアーチをかけた。パワーに加えて対応力や確実性も高く「本塁打を打てる打者はたくさんいますが、場面に応じた打撃ができるところが自分の強みだと思います」と自信を口にする。投手にも野手にもこだわりがあり、プロのスカウトも投打ともに評価している。プロでは、どちらを選ぶのか。田村の答えは「どちらか」ではなく「どちらも」だった。
「プロの世界は甘くないと思いますが、高校までずっと両方やってきたので、プロでも自分の全てを出し切りたい思いがあります。どちらも、やりたいです」
田村は投手の経験が打撃に生かされ、打者であることが投手の幅を広げると考えている。プロでの二刀流に、左投げで新しい守備位置の開拓。常識を覆すのは簡単ではないが、挑戦しなければ始まらない。数年前は「無謀」と揶揄された大谷の二刀流は今、日米で賞賛され、新たな可能性を広げているのだから。
(間淳 / Jun Aida)