東北女子野球のパイオニアとして… クラーク仙台2期生が引退試合で託した日本一

集合写真に納まるクラーク仙台、花巻東の3年生【写真:高橋昌江】
集合写真に納まるクラーク仙台、花巻東の3年生【写真:高橋昌江】

楽天生命パークで花巻東と引退試合を行う

 高校女子硬式野球のクラーク仙台(宮城)と花巻東(岩手)が9日、楽天生命パーク宮城で3年生の引退試合を行った。クラーク仙台は3-8で敗れたが、2期生全14人が出場。楽天の本拠地で高校野球を締めくくり、主将を務めた山口優生菜(3年)は「こんな素敵な球場で試合をやらせていただき、感謝です」と話し、後輩たちに日本一への思いを託した。

 指導者の派遣など、プロ野球・楽天と提携し、2018年4月に東北地方初の高校女子硬式野球部として始動したクラーク仙台。その翌年に入学してきた2期生が高校野球に区切りをつけた。昨年創部された花巻東と楽天生命パークで対戦。2、3回に失点を重ねて3-8で敗れたが、3年生14人が全員出場。キャプテンを務めた山口は「こんな素敵な球場で試合をやらせていただき、感謝です。全員が試合に出られてよかった」と笑顔を見せた。

 1学年上の1期生は女子高校野球の最速投手を擁して全国大会の決勝でも接戦を演じるなど、好成績を納めてきた。創部まもなく「クラーク=強豪」の認知は広まり、2期生はプレッシャーとも戦いながらプレー。今年は春の選抜大会、夏の選手権大会ともに初戦敗退と悔しい結果になった。それでも、プロ野球を経験した指導スタッフの教えを受けながら、スポーツコースで野球に専念できる充実した環境で着実に力をつけた。

 新チームについて山口は「勝つために、自分たちの代とは変えて考えてやっているところもある。強くなると思います」と期待する。主将を引き継いだ岡田梨花(2年)は新チームから捕手を務めるが、前チームではセンターを守り、3年生とともに戦ってきた。その経験値も生かしながら、「“全員野球”をモットーに、1つのプレーに対して全員で集まって話し合うなど、問題を解決するようにしています」と工夫する。

 クラーク仙台、花巻東に続き、今年は日本ウェルネス宮城、盛岡誠桜(岩手)でも女子硬式野球部が立ち上がった。来年には学法石川(福島)、校名を惺山に変更する山本学園(山形)、弘前学院聖愛(青森)でも創部予定。高校生年代が部活動で野球できる環境が東北地方で広がりつつある。来年、創部5年目となるクラーク仙台は、そのパイオニアとして各チームをリードしていくことになる。山口は「全国優勝してほしい」とエール。岡田主将は思いを受け取り、「目標は日本一。そこに向かってやるのはもちろん、応援されるチームを作っていきたいです」と決意を新たにした。

(高橋昌江 / Masae Takahashi)

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