2得点以下の試合は“2勝44敗6分け” 接戦に弱いDeNA、サヨナラ勝ちに見出す意味
牧、森、知野…「気にならないといえば嘘になりますが」
柴田は「遊撃のレギュラーとして打率3割」の目標を掲げて今季に臨んだが、4月23日の阪神戦の守備で味方野手と交錯し左肩関節亜脱臼を負うなど、再三のケガでスタメンに定着できなかった。遊撃と二塁を高いレベルでこなす守備の名手だが、二遊間には今季、ベテランの大和のほか、ドラフト2位ルーキーの牧、19歳の森、22歳の知野らが台頭。猛烈に突き上げられている。
それでも「年下の子が気にならないと言えば嘘になりますが、(若手の成長は)チームにとって良い事。チームが良い方向に行くことを考えています」と言い切る。それだけに、三浦監督の就任1年目に最下位を低迷中の現状は歯がゆくてならない。「もっとできる、絶対に勝てるはずのチームだからこそ、悔しいです」と語る。そして「首位にいるようなチームは、ロースコアでも勝ち切ることができる。それができないと、順位を上げられない。こういう試合に勝ったことには、すごく意味があると思います」とうなずいた。
実際にこれまでのDeNAは、強力打線を封じられると勝つすべがなく、今季2得点以下の試合では2勝44敗6分。首位に立つヤクルトが、2得点以下でも10勝20敗13分と勝機を見出しているのとは対照的だ。
この日は先発の今永が7回1失点に抑え、8回はエスコバー、9回は三嶋が無失点リレー。主将の佐野は8回に代走を送られベンチへ退いていたが、9回に“脇役”たちがつないで勝利をモノにした。三浦監督も「接戦を取れたことは、チームにとって大きなプラス。ベンチも選手もこういう経験を積み重ねて、もっと上を目指してやっていかないと」と手応えを得た。
DeNAはこの試合に負けていれば、クライマックスシリーズ(CS)進出の可能性が完全消滅するところだったが、土俵際で踏ん張った。それ以上に、ロースコアの展開を制したことの方が来季へ向けて意義深い。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)