128人中128番目の指名で「良かった」 鷹育成14位・仲田慶介の“這い上がり人生”

大事にしてきた「克己心」という言葉「自分に負けない」

 高校時代も大学時代も地道な努力で這い上がり、最後にはチームの中心選手になってきた仲田。「やってすぐに結果が出る人と比べると、僕はこれだけやっても(結果が)出ないかというタイプでした。心が折れそうになったことは何回もありますが、やり続けていたら、最後の最後で出るんだと今も信じてやっています」。プロ野球の世界でも“育成の最下位”からのスタートになった。

 今でこそ、遠投は驚異の120メートルを誇るが、高校時代は80メートル程度。何か特別なキッカケがあったわけではなく、トレーニング、食事、体の使い方、投球フォームの見直しなど、コツコツとやってきたことが噛み合ってきた時に、爆発的な成長を実感したのだという。

 スイッチヒッターというのもプロを目指す上で“特徴”を作るためだった。小学校は右打ち、中学からは左打ちだったが、大学入学後に両打ちに挑戦。とにかくバットを振り込むと、どちらの打席でも遜色なく打てるようになった。現在は、50メートル6秒1の脚力を、より速くするために専門家のもとでトレーニングを積んでいる。貪欲に努力し続け、自らの手で夢を手繰り寄せるというのが“仲田流”だ。

 大事にしてきたのは「克己心」という言葉だ。「自分に負けない。練習でも、今日はこれくらいでいいかなという所で自分に勝つというのを意識してやってきました」。強い思いを持ってやってこられたのは、ある景色が脳裏に焼き付いていたから。福岡市で生まれ育った仲田は生粋のホークスファン。「子どもの頃からドームでずっと野球を見てきたので、自分がそこでプレーしている姿を想像して、それをモチベーションにやってきました」。童心に返ったように澄んだ瞳で話す仲田が、原点ともいえるホークスでプロ野球人生をスタートさせる。

(上杉あずさ / Azusa Uesugi)

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