松坂大輔「自分の諦めの悪さ褒めたい」 今春に引退意識「投げるのが怖くなった」
引退登板を前に会見「辞めなければならない、と自分に言い聞かせ」
西武の松坂大輔投手が19日、引退試合として先発する日本ハム戦(メットライフドーム)を前に、球団事務所で記者会見に臨んだ。会見途中に絶句し、涙を浮かべ、声を震わせるシーンもあった。
7月7日に引退を発表してから3か月あまり。「発表したものの、なかなか受け入れられなかった」と思いが揺れていたことを明かした。現役への未練はまだまだある。それでも「その後も、やれそうだと思えたことは1度もなかった」と無念の表情を浮かべた。
14年ぶりに西武に復帰した昨季、首の痛みと右手のしびれに襲われ、7月に脊椎内視鏡手術を受けた。明確な症状の改善が見られない中、それでもフリー打撃登板などをこなし、実戦登板にメドが立ち始めた今年4月、ブルペンでの投球練習中、右打者の頭の方向へすっぽ抜けた。「その1球でボールを投げることが怖くなった。ショックは大きかった」と明かした。「辞めなければならない、と自分に言い聞かせるようになった」きっかけだった。
「やっぱり、会見したくなかったんですよ……」。家族の反応を聞かれた時は、しばらく絶句し、涙がほおを伝い、声が震えた。
「自分の諦めの悪さを褒めたい。もっと早くやめてもいいタイミングはあった。パフォーマンスを出せない時期は苦しかった。これまでは、批判されたり叩かれたりしても、それを力に変えて、跳ね返してやろうと思ってやってきましたが、最後はそれに耐えられなくなって、心が折れました」
2015年にソフトバンク入りし日本復帰してからは、ずっと故障との戦いだった。「僕みたいな選手は他にいないかもしれない。いい思いもしたし、どん底も同じくらい味わった」と波瀾万丈の野球人生を振り返った松坂。最後は自分に「もう十分やったじゃん。お疲れ様」と語りかけた。時代を築いた“平成の怪物”はこの日、最後のマウンドに立つ。