「もう1度登るか、さらに沈むか」 西武・辻監督が期待する来季巻き返しへの光

「獅子男(ししお)~!」 山田はお立ち台でパフォーマンス披露

「最近……最近というより、基本的に打てないので、積極的に真っすぐが来たら打ってやろうと思って打席に入りました」と語り、「正直言って完璧な打球でした。あれで(スタンドに)入らないということは、もう入らないです。スミマセン」と苦笑した。「その後の3打席の内容(四球、投ゴロ、空振り三振)を見ると、(殊勲打は)“交通事故”だった気もするが、あそこで打ったのは大したもの。気持ちが出たね」と、ジョークを交えて称えたのは辻発彦監督。確かにトータルでの打率は低いが、チャンスでは今季得点圏打率.351(37打数13安打18打点)の勝負強さを見せている。

 もともと、山田の持ち味は堅実な遊撃守備と、守備中に1球1球「ストライク!」と声を張り上げる元気の良さにある。この日のお立ち台では、「獅子男(ししお)~!」と叫んだ。本塁打を放った際のパフォーマンスとして考案したものだが、プロ入り後1軍で放った本塁打は2018年の1本だけ。なかなか披露の機会に恵まれていなかったのだ。

 今季の西武は、開幕直後から故障やコロナ禍で主力が相次いで戦列を離れ、なかなかベストメンバーを組めなかった。チームとしては5年ぶり、辻監督の下では初めてのBクラスが確定している。

 試合後に行われた本拠地最終戦セレモニーで、辻監督は「1度落ちたチームがもう1度のぼっていけるか、さらに沈むかは、来年にかかっている」と危機感をあらわにし、「今年はいろいろなアクシデントに見舞われた中で、これを機会にと若い選手たちが躍進した。まだまだレギュラーには程遠いですが、経験を積んだ若い選手たちが来季から埼玉西武ライオンズの力になってくれると思います」と声を張り上げた。田村、山田のような、地道にキャリアを重ねてきた選手たちが脚光を浴びたシーズンでもあった。

 来季の巻き返しを誓う前に、最下位を回避する戦いが残っている。21日現在、5位・西武と最下位・日本ハムの差はわずか0.5ゲーム。残り試合は西武が2、日本ハムが6で、そのうち1試合が26日の直接対決(札幌ドーム)だ。果たして、どんな結末が待っているか。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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