4番抜擢後の打率.477、DeNA牧は新人王なるか 三浦監督「結果を出している」
三浦監督は「研究されている以上に相手を研究している」と絶賛
■DeNA 4ー2 中日(22日・横浜)
DeNAは22日、本拠地・横浜スタジアムで中日に4-2で勝利。負ければ最下位が確定する5位・中日との直接対決で、辛くも逃げ切った。「4番・一塁」で出場したドラフト2位ルーキー・牧秀悟内野手は4打数2安打。今季打率を.303に上げた。“高レベル過ぎる”新人王争いの中で、日に日に存在感を増している。
この日の牧は初回、桑原将志外野手の初回先頭打者本塁打と佐野恵太外野手の適時打で2点を先行した後、無死一塁で迎えた第1打席に、中日先発・勝野の外角カーブを一閃。右翼フェンス直撃の二塁打で勢いをつなぎ、この回一挙4得点のビッグイニングに貢献した。6回先頭で迎えた第3打席では、同じ勝野に対し、今度は外角のストレートを右前へ。コースに逆らわない打撃はどんな場面でも揺らがない。
主砲のタイラー・オースティン外野手が今月4日の阪神戦で左ふくらはぎの肉離れを発症し、翌5日に出場選手登録抹消。牧はこの日から12試合連続で4番に座り、その間47打数21安打(打率.447)で期待に応えている。三浦大輔監督は「代役というより、オースティンが怪我をした時に、誰がふさわしいかと(首脳陣で)話し合ったところ、牧だろうということになった。実際、4番に入ってからも、それまでのスタイルを変えず結果を出してくれている」と目を細める。2番から7番まで6種類の打順を経験した中で、4番で残した成績が断トツで高いところも頼もしい。
同い年のライバルである阪神・佐藤輝明内野手は、シーズン前半戦では31本塁打のNPB新人最多記録を塗り替える勢いで打ちまくっていたが、徹底的に研究された後半に失速。対照的に牧は、5月に打率を2割6分台前半まで落としたことがあったが、そこから巻き返し、4番に抜擢された後に3割の大台に乗せた。三浦監督は「厳しくマークされている中で結果を出せるのは、研究されている以上に、相手を研究しているからだと思う」と評する。
8月25日の阪神戦では、新人では史上初のサイクル安打を達成。普通なら新人王間違いなしだが、今年に限っては簡単にはいかない。22日現在、広島のドラフト1位・栗林良吏投手は守護神として51試合に登板し35セーブ、防御率0.72をマーク。特に0点台の防御率は、新人でなくても驚異的だ。高卒2年目にしてリーグ優勝目前のヤクルトでチームトップタイの9勝(4敗)を挙げている奥川恭伸投手にも、新人王資格がある。
強力打線の中心にどっしり座る牧は、144安打がリーグ6位、打率は7位、22本塁打も7位、68打点も11位につけている。果たして一生に一度のチャンスをものにすることができるだろうか。いずれにせよ、今年のセ・リーグ新人王争いは“史上最強の次点”を生むことになりそうだ。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)