燕ドラ1法大・山下輝が投じた“魂の17球” 9回無死満塁、危機救った緊急登板
燕ドラ2丸山との対戦も「打者はあまり見えていなくて…」
カウント1-1から相対した丸山はヤクルトからドラフト2位指名されており、来年はチームメートとなる可能性が高い。しかし、山下はこの場面ばかりは「打者はあまり見えていなくて、ストライクゾーンだけが見えていました」と述懐する。
丸山にはカウントを2-1とした後、内角低めの146キロ速球を打たせ、一ゴロに仕留めて三塁走者を本塁封殺。陶山も同様に一ゴロに打ち取り、2死まで漕ぎつけた。続く村松の打球も平凡な二ゴロだったが、二塁手の齊藤大輝内野手(3年)がファンブルし同点。それでも山下は、続く4番・上田から137キロのツーシームで空振り三振を奪い、敗戦危機から脱した。
奇跡的な“山下様様”の展開。味わい深い17球だった。一方で、加藤監督の采配も光った。この回無死一、二塁となった時点で、一塁手を浦和博外野手(2年)から松田憲之朗内野手(3年)に代えていたのだ。浦は今季、打撃が急成長し4番を任されるまでになったが、一塁守備は急造だった。「不安を解消した方がいいと思いました」と加藤監督。この後、絶体絶命の場面で松田へ一ゴロが2本飛び、本塁送球無難にをこなしたことを考えると、加藤監督のひらめきも勝因の1つと言えるだろう。
法大はこの引き分けで1勝3敗5分けとなり、今季5位が確定。だが、同時に明大の優勝の可能性を消滅させ、意地を見せた。残るは27日の明大戦のみ。山下は勝利へ執念を燃やすその姿を、後輩たちに残していく。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)