甲子園のヒーローがついに覚醒 楽天・安樂智大が開拓した新たな投球スタイルとは?

楽天・安樂智大の2016年結果球割合【画像:(C)PLM】
楽天・安樂智大の2016年結果球割合【画像:(C)PLM】

昨季からチェンジアップを決め球に多投、ブレークの要因に

 2016年と2020年以降の結果球の割合を見ていきたい。2016年はストレートとスライダーを決め球に多く用い、緩急をつけるカーブと現在では使っていないフォークを交えていた。速球は140キロ台と現在とほぼ変わらなかった。

楽天・安樂智大の2020年結果球割合【画像:(C)PLM】
楽天・安樂智大の2020年結果球割合【画像:(C)PLM】

 2020年はフォークをレパートリーから外し、以前は投じていなかったチェンジアップを決め球として多投するように。かつては結果球の割合が30%を超えていたスライダーも12%にとどまっており、投球スタイルそのものを大きく変化させたことがうかがえる。

楽天・安樂智大の2021年結果球割合【画像:(C)PLM】
楽天・安樂智大の2021年結果球割合【画像:(C)PLM】

 今年はカーブの割合がさらに減少し、昨年の4.6%から0.4%に。スライダーの割合が12.2%から20.5%に増加した。チェンジアップの割合は38.9%から37.6%とほぼ横ばいだが、ストレートも44.3%から41.5%とやや減少している。結果球として反映された球種が、より信頼できる3つの球種(ストレート、スライダー、チェンジアップ)に絞られていることが投球の安定性向上に寄与している面はありそうだ。

 安樂について語るうえで、高校時代の投球数を避けては通れないだろう。愛媛・済美高2年時の2013年選抜高校野球大会で準優勝。1大会で772球を投げことで賛否を呼んだ。高校時代に甲子園で155キロの速球を投じたが、現在は140キロ後半の速球を投球の軸としている。エースの連投は今なお難しい問題としてその是非を問われている。一方で松坂大輔投手、田中将大投手のように高校時代に甲子園で多くの球数を投じ、プロ入り後に新人王のタイトルを獲得する活躍を見せ、その後も息の長い現役生活を送る投手もいる。安樂も高校時代、プロ入り後に故障に苦しんだ時期もあったが、プロ7年目でブレークを果たしつつある点は明るい兆しといえそうだ。

(「パ・リーグ インサイト」望月遼太)

(記事提供:パ・リーグ インサイト

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