阪神CS敗退の必然… 専門家指摘「3つの“永遠の課題”が凝縮されていた」

「1つ先の塁を奪う技術を磨かないと日本シリーズ進出はおぼつかない」

 野口氏は「守備がうまくなるには、地道な練習以外にない」と断言。「中野の場合は、シーズン前半に失策数を稼いでしまいましたが、後半には成長の跡が見られました。あとはCSのような、ミスが勝敗を左右する大事な試合でやらかさないように、成長していってほしい」とエールを送った。

 攻撃面で「チャンスはつくるのに、ここぞの1本が出ない」傾向も、ここ数年続いている。この日、7、8回以外は全てのイニングで得点圏に走者を進めながら、得点できたのは2回の1度だけ。タイムリー欠乏症は深刻である。「近本(光司外野手)、中野が出塁しても、主軸の“還すべき人たち”が機能しなかった」と野口氏は評した。

 そしてもう1つ、「走塁面で、1つ先の塁を奪う技術を磨かないと、日本シリーズ進出はおぼつかないですよ」と指摘した。2回、1点を先制してなお1死二塁のチャンス。近本が右前打を放ったが、二塁走者の佐藤輝明外野手は三塁ストップ。「あの当たりで本塁に還ってこられない、ましてやチャレンジもできなかったのは寂しい」と指摘したのは一例だ。

 3回1死一塁で、メル・ロハス・ジュニア外野手が右前打を放った際、一塁走者の大山が二塁にとどまったのも物足りなかった。野口氏は「言うまでもなく、一、二塁より一、三塁にした方が、得点できる可能性は広がります。ゲッツー崩れ、犠飛、バッテリーミスでも点が入るのですから。阪神が点を取れない理由は、タイムリーが出ないことだけでなく、こういうところにもあるのです」と強調した。

 レギュラーシーズンでは前半に首位を独走しながら、結局ヤクルトに捲られた阪神。リーグ優勝、日本シリーズ進出までのあと一歩は、近いようでまだまだ遠いようだ。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

RECOMMEND

CATEGORY