目立たぬ“サブキャラ”がプロ指名を受けるまで…恩師信じて夢果たした155キロ左腕
火の国サラマンダーズの石森大誠投手は最速155キロ左腕
自称“サブキャラ”が、プロにドラフト3位で指名される選手にまで上りつめた。今年10月のドラフト会議で中日の指名を受けた独立リーグ・火の国サラマンダーズの石森大誠投手は高校時代、あまりに目立たない存在だった。それでも自分の可能性を信じられたのは、素質を見抜いた恩師“言葉”があったから。憧れの舞台へたどり着く大きな原動力となった。
高校時代を石川の名門・遊学館高でプレーしていた石森は、チームメートのレベルの高さに圧倒されていた。3年夏に甲子園に出場しても、喜び以上に驚きが大きかった。対戦した熊本代表の九州学院高は、現在DeNAでプレーする伊勢大夢がエースで、4番には1年生だったヤクルト・村上宗隆が座っていた。その試合をベンチから見ていた石森は自身の高校時代を「サブキャラでした」と自虐的に振り返る。
ところが山本雅弘監督は、石森の足の速さと肩の強さから「主役になれる」と見抜いていた。ある日、「怖い存在だった」という指揮官と2人で話した時にかけられたのが「お前が一番プロに行ける素質がある」という意外な言葉。石森の頭に大きなクエスチョンマークが浮かぶ。「何で俺なんだろう?」。自分がプロ野球選手になるイメージはとても描けなかったが、言葉の力は印象に残った。大学で野球を続ける決意をした。
東北公益文科大(山形)に進学した石森は、ここでも「プロ」という言葉を聞く。横田謙人監督も石森の潜在能力の高さに惚れ込み「お前をプロに行かせる」と宣言、1年春から外野で起用した。3年次から投手も務めるようになった石森は、エース兼主将としてチームを南東北リーグ優勝に導き、プロを意識するようになった。