NPB経験のないオリックスのブルペン捕手 山本由伸ら投手陣が全幅の信頼を寄せるワケ
2010年にオリックス入りした瓜野純嗣ブルペン捕手
1996年以来、25年ぶりに優勝を果たしたオリックス。2年連続最下位から躍進を果たしたチームを陰で支えたのが瓜野純嗣ブルペン捕手。NPBでの選手経験はないが11年間、歴代エースたちのボールを受け続けた男も悲願の日本一に向け全力でサポートしている。
クライマックスシリーズを突破しても休む暇はない。誰よりも早く球場入りし試合の映像を分析。投手に助言を求められた場合にアドバイスできるように癖や変化を頭に叩き込む。過去には金子千尋(現日本ハム)、そして現在はエース・山本由伸らが全幅の信頼を寄せている。
「やっぱりピッチャーが打たれて悲しむ姿を見たくないので。自分にできることは少ないが悔いだけは残したくない。不安なくマウンドに上がってもらうことが仕事だと思っている」
2010年にオリックス入りした際は、坂口智隆(現ヤクルト)、大引啓次ら同級生たちが活躍。その後も同い年の選手が多く集まり「いつか皆で優勝したい」と約束を交わしたが、チームは低迷しその願いは叶わなかった。移籍や引退などで去っていく姿を見届け、気付けば当時のメンバーは自分だけになっていた。
それでも、今シーズンは若手、中堅、ベテランたちが噛み合い25年ぶりのリーグ優勝を果たし「みんな本当に頑張っていたから嬉しかった。少しは力になれたのかな」と、裏方として幸せな瞬間を過ごすことができたと実感している。
チームは20日から京セラドームで、セ・リーグ覇者ヤクルトと日本シリーズを戦う。15日には右肘手術から復帰を目指す山岡泰輔投手が1軍に合流。ブルペンでは変化球を交え15球を投げ込んだが、投球を受けたのは勿論、瓜野ブルペン捕手だった。
「手術する前の状態より全然いい。体の状態もいいしバッターが立ったらもっと戻ってくると思う」
16日の実戦登板で最終テストを行うが、山岡が戻ってくれば悲願の日本一に向け大きな力になるのは間違いない。「みんな良い顔して野球をやってる。日本一になれるようにサポートできれば」。背番号「110」の裏方はエース・山本らリーグ屈指の投手陣を最後まで支えていく。
(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)