“三振取りたがり”卒業で掴んだ神宮初勝利 中央学院大エースのイメージチェンジ

佛教大戦に先発した中央学院大・古田島成龍【写真:小林靖】
佛教大戦に先発した中央学院大・古田島成龍【写真:小林靖】

「三振を狙うより、打たせて取る方が楽」

 第52回明治神宮野球大会は22日、東京・神宮球場で大学の部の2回戦1試合が行われた。不安定な天候の中でプレーボールがかかった中央学院大と佛教大の一戦は試合途中に降り出した雨の影響で8回途中降雨コールドに。中央学院大が7-1で佛教大を下し、神宮大会初勝利をあげた。完投したエースの古田島成龍投手(4年)は「イメージ通りできてよかった」と声を弾ませた。

 中央学院大は初回、4番・嘉数尊外野手(4年)の3ランで先制。リードを貰ってマウンドへ向かった古田島は“イメチェン投球”を披露した。菅原悦郎監督が「三振とりたがりのピッチングだった」と話すように、これまでは三振をとりにいって大事な場面で本塁打を浴びたり、失点したりすることが多かったという。しかし、この日は「嫌なバッターが沢山いる。三振を狙うより、打たせて取る方が楽」と分析し、佛教大打線に対峙した。

 先頭の竹田貴行外野手(2年)に三塁打を許し、内野ゴロの間に1点を失うも、言葉通りの投球でその後は凡打の山を築いていった。2年時からバッテリーを組む佐藤晃一捕手(4年)と「インコースの直球系の使い方を話して試合に入った。相手が直球系に張っているのがわかったので途中から変化球系に変えて打たせてとった」と試合の中で臨機応変にスタイルをチェンジ。指揮官も「古田島という投手がどういうボールがいいのか。もう一度、佐藤が理解して、攻めの配球をするようになった」と3年間二人三脚で歩んできたバッテリーの成長を称えた。

 神宮球場のマウンドについても把握済み。「12球団で一番硬いと聞いていた。後半になるにつれて掴んでいった」と終盤は激しい雨が降りしきる中でも四球わずかに1個と安定した投球をみせた。試合は8回裏二死2塁で降雨のため中断。31分間の中断時間を挟んで降雨コールドとなった。

 古田島は7回2/3を投げて2安打1失点。23個のアウトのうち奪った三振は3つだった。「イメージ通り」と振り返ったエースについて菅原監督も「三振とりたがりのピッチングだったのが、今日は打たせてとることに集中してくれた」と絶賛。学生最後の大会で進化を続ける背番号18。3度目の出場で神宮大会初勝利を挙げたチームは24日に準決勝を迎える。

(市川いずみ / Izumi Ichikawa)

市川いずみ(いちかわ・いずみ) 京都府出身のフリーアナウンサー、関西大学卒。山口朝日放送アナウンサー時代には高校野球の実況も担当し、最優秀新人賞を受賞。学生時代はソフトボールで全国大会出場の経歴を持つ。

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