大学選手権MVP、神宮大会も打率.857… 鷹ドラ2の慶大・正木はなぜ全国で強いのか

慶大・正木智也【写真:中戸川知世】
慶大・正木智也【写真:中戸川知世】

6月に行われた全日本大学野球選手権でも2本塁打を放ちMVPに

 ド派手なアーチは出なくとも、ポテンシャルの高さを感じた。神宮球場で行われている第52回明治神宮野球大会。24日の大学の部準決勝で、慶大は神奈川大に6-4で劇的サヨナラ勝ち。ソフトバンクからドラフト2位指名を受けた正木智也外野手(4年)は4打数4安打の大活躍だった。

「内容としては出来過ぎかなと思います」と少しはにかんだ正木。今大会はここまで7打数6安打1本塁打1打点、打率.857と大爆発。この日は、長打と打点こそなかったが、右前、左前、中前、右前と来た球に応じて、広角に打ち分けた。

 全国の舞台にめっぽう強い。6月に行われた全日本大学野球選手権(神宮、東京ドーム)では準決勝の上武大戦で先制2ラン、決勝でも2戦連発の先制2ラン含む3安打3打点。最高殊勲選手賞を獲得し、慶大の日本一に貢献した。正木はなぜ大舞台に強いのか。

 あくまで「データ班のおかげ」と感謝する。リーグ戦と違って、少ないデータを細かく分析し、動画も交えて伝えてくれるという。この日も、神奈川大の投手陣には警戒されていることを意識し、甘い球だけを待って、広角に打ち分けた。「(データを)頭に入れながら野球ができていることが大きい」とも分析する。

 トーナメント制の“一発勝負”も熱い思いを駆り立てる。「1球に対して思い切り喜んだり、思い切り悔しがったり……。勝ちに対する執念、感情が面白い」。負けたら終わりの戦いだからこそ、1球1球への意識も高くなる。

 25日の中央学院大との決勝戦に勝利すれば、春秋の東京六大学リーグ戦、全日本大学野球選手権と合わせて大学4冠になる。東京六大学勢初の快挙まであと1つに迫るが、正木は至って冷静だ。「先を見過ぎずにワンプレー、1球に集中して、目の前のことを積み重ねて結果がついてくると思います」。“慶大・正木”としてのラストゲーム。積み重ねてきたものを全て出す。

(川村虎大 / Kodai Kawamura)

RECOMMEND

KEYWORD

CATEGORY