小久保裕紀が見せた弱さに「安心した」 川崎宗則が“本当のプロ”になった日
10歳上の大先輩・小久保氏は「自分を決して大きく見せない」
弱さを直視することが、強さの始まり。「それが小久保キャプテンの懐の深さでもある。真摯に向き合ってくれて、自分を決して大きく見せない。コツコツやってきたからこそ、ホームラン王にもなったし、常勝ホークスを引っ張っていけるんだなと思った」。10歳上の背中が、そのまま目指す理想にもなった。
迎えた3年目。キャンプ中に死球を受けた影響で出遅れたものの、2軍では首位打者を獲得。1軍も36試合経験した。「仕事に対して真摯に向き合い、お金をもらっている意味を考えた」。ただのプロから、真のプロへと昇華した1年だった。4年目の2003年からはレギュラーに定着し、翌2004年には最多安打と盗塁王のタイトルを獲得。絶対的な地位を築き、メジャーリーグにも挑戦した。
不惑を迎え、舞台を独立リーグに移して現役を続ける。衰えに目を背けず、できる限界を追求。「41歳の来年に盗塁20個したいとか言ってるなんて、ハタチの時は思いもしなかったよね」。自らが納得するまで、グラウンドに立ち続けるつもり。あの時、奄美大島で得た気づきは、今もムネリンを支えている。
○川崎宗則(かわさき・むねのり)1981年6月3日生まれ、鹿児島県出身。1999年のドラフト4位で鹿児島工からダイエー(現ソフトバンク)に入団。2004年に最多安打と盗塁王を獲得し、2006年には侍ジャパンの一員として第1回WBCの優勝に貢献した。2012年からMLBに挑戦し、3球団でプレー。国内球界に復帰した後、2019年には台湾プロ野球「味全ドラゴンズ」で兼任コーチを務めた。2020年途中からルートインBCリーグ・栃木ゴールデンブレーブスに所属する。
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