逮捕から2年…「球団に恩返ししたい」 シュラスコを焼く元ヤクルト右腕の“夢”
2019年に逮捕も不起訴に…現在は東京・東福生駅前でブラジル料理店を経営
華やかなプロ野球の世界。その中でスターになれるのは一握りだが、引退後のセカンドキャリアで活躍する元選手も数多くいる。日章学園からヤクルトでプレーし、現在は東京・東福生駅前でブラジル料理店を経営する片山文男さんもそのひとりだ。
片山さんの人生は波乱万丈だ。ブラジルで生まれ育つと日章学園(宮崎)に入学するために来日。2002年の夏の甲子園に出場し、投手としてマウンドに立った。その年のドラフト6巡目でヤクルトに入団したが、わずか3年で戦力外通告。その後は、自身が異国で苦労した経験を生かし、働き口のない外国人の就労を手助けする人材派遣業に転身。「2時間しか寝てなかった」と必死で会社を軌道に乗せるも、その矢先に落とし穴が待っていた。
2019年5月31日に“就労資格のない男女を派遣した”として入管難民法違反の疑いで逮捕の報道が流れた。不起訴になったものの“元プロ野球選手が逮捕”と日本全国にニュースが流れ、真っ先に頭をよぎったのが「ヤクルトに申し訳ない」という感情だった。社長の片山さん自身は直接には関わっていなかった上、不起訴の情報は多くは流れず、逮捕の印象だけが強く残ってしまった。だが「間違えたことには変わりない。これから自分がどう頑張っていくかしかない」と反省し、次の新たな一歩をどのように進んでいくか、悩む日々が続いた。
それでも、背中を押したのは自分自身の経験だった。信頼の厚かった取引先も多く「辞めないでほしい」という声もあり、人材派遣の仕事で再起することを決意。同時に飲食店の経営で、外国人の雇用を増やすことに尽力することにした。そして、第一歩として2020年に開店したのがブラジル料理店「BRAZA GRILL」だった。